投資ファンドへの応募

2010-11-24 執筆者:山本 恵亮

2010年も間もなく12月を向かえようとしていますが、投資ファンドの求人状況は2009年と比較すると、多少の改善が見られました。

引き続きラージキャップの投資案件を対象とした外資系ファンドの募集は低調ですが、ミッドキャップの投資案件が増加しているせいか、中規模案件に投資するファンドでの募集が目に付くようになってきました。

銀行もこの規模の案件にローンをつけるようになってきたとも耳にしますし、このまま投資ファンド市場が活発になっていくことを期待したいところです。

とはいえ投資ファンド業界全体での景況は2007年頃と比較するとまだ厳しく、募集があっても採用に至るのは極めて狭き門であることに変わりがありません。

その様な中でよく質問を受けるのが、「転職活動をするのは景気がはっきりと回復してからがよいでしょうか」という趣旨のご相談です。

「悪い時期に応募するよりは、景気が回復し採用意欲が高まった時に応募したほうが、採用される可能性が高いのではないか」
「せっかく入社したファンドが撤退してしまうリスクもあるのではないか」
といった心配がご相談の背景にあるのだと思います。

確かに応募のタイミングは悩ましい問題です。どの様に考えるのがよいのでしょうか。

私は選考の難易度や景況感で転職活動開始の是非を決定するのではなく、ご自身の価値観に合致する仕事と会社においてチャンスがあるのであれば、挑戦すべきだ思います。
ただし、ご自身の価値観がどういったものなのか、深く考え抜いておくことが大切です。

その為には、単に日常的な考えや感情に向き合うだけでなく、例えば、中学高校生時代にまで遡り、人生の節目でどの様な選択をしてきたのかを考えるのも良い方法です。
高校時代の部活動ではいくつかのクラブから1つ選択したわけですし、大卒時の就職活動でも、沢山の会社の中から今の会社を選んだはずです。そういった意思決定にはご自身の価値観が詰まっています。その延長線上に今があり、何らかの問題意識を持って、次のキャリアを考えている状況です。
この意思決定のストーリーを振り返れば、ご自身が大切にしている価値観が見えてくると思います。

その価値観に合致する仕事が、投資ファンドで実現出来ると確信した時。
さらに、そのファンドが人材を求めているとしたら、応募することを躊躇するでしょうか。
志望理由もご自身にとって腹落ちしたものであると思います。
そして、この様な過程を経て深く覚悟をして入社するのであれば、将来どれだけ大変なことがあっても踏ん張れるのだと思います。

目先の環境や小手先の面接テクニックに拘るのではなく、自分が何に価値を置いているのか、一度深く考えてみることをお薦めします。

取締役山本 恵亮 / Keisuke Yamamoto
【経歴】
同志社大学商学部卒。大手人材サービス会社にて金融とIT業界を担当後、渡米。在米のコンサルティング会社で、人材採用支援、人事コンサルティング、そして新規事業の立ち上げを事業開発マネージャーとして推進し、北米での事業拡大に貢献。2004年4月アンテロープ参画、翌年同社取締役。PEファンド(バイアウト)を中心に、VC、M&A、コンサル、投資先企業の経営人材、また組織立ち上げ期におけるコアメンバー採用の支援も強み。1級キャリアコンサルティング技能士。

【担当領域/実績】
専門はPEファンド(バイアウト)、VC、エンゲージメントなど投資ファンド、投資先の経営人材など。20年のエージェント経験で培われた層の厚いネットワークを有し、業界トップから新鋭企業まで数百名に及ぶ転職を支援してきた。水面下で流通する求人案件の提案から、選考対策、希望職種の明確化も含め丁寧な支援を行っている。