スタートアップの選考プロセスにおけるポイントとは
これまでの自身の経験を生かし、スタートアップで裁量を持って働きたい、より経営に近いところで仕事に取り組みたい、こういったご相談をいただくことが増えています。例えば、コンサルティングファームで実績を積まれた方からは「意思決定は常にクライアント側にあり、またプロジェクト単位での仕事が多いため、自分のかかわった仕事の結末を見ることが出来ないままになってしまい、そこにストレスがある」というお話を良く耳にします。その解決策としてスタートアップへの転職を考える際に知っておきたいのは、選考プロセスが一般的なものとは異なるという点です。以下、知っておくべきポイントを解説していきます。
スタートアップの選考フローについて
特に募集職種としてCxO、経営企画、事業開発関連のポジションを想定した場合、スタートアップの選考フローは一般的なものとは大きく異なってきます。通常の「1次面接→2次面接→最終面接」という企業側が候補者を選ぶという側面の強い内容ではなく、両者がお互いを見極めるという色合いが強くなるのです。
まずはスタートアップ側のミッション/バリューの説明に始まり、そこへの共感を前提として自身の経験や価値観(スキルセットとマインドセット)を説明するのが1次面接。次の2次面接では、それらの経験が具体的にどう生かせるのか、組織において期待される役割、会社自体の近未来の展望などを議論します。それらのすり合わせが完了した段階で、現場のメンバーと会い、パーソナリティを含めたフィット感を確認する場が設けられます(ランチや夜の会食で実施されるケースもあり)。その後もう一度マネジメント陣と面談し、最終的にお互いの意思を確認する、というような流れが典型的なパターンです。採用面接の中で、経営戦略について会社と候補者が議論を交わすというのはスタートアップならではの光景ですし、それが双方の入社後のイメージを明確にすることにもつながっています。
ミッション/バリューへの共感とその確認方法
スタートアップの選考で何よりも重視されるのは、自社のミッション/バリューへの共感の強さです。
そもそもスタートアップには、事業が軌道に乗らず会社が倒産解散となる可能性があり、かつ金融・コンサル業界からの転職であれば年収も下がることが多いため、個人からすると大きなリスクを取っての転職、ということになります。当然アプライする前にはご自身でその会社を徹底的にリサーチすると思いますが、一方で企業側としても候補者に対して「短期で退職されないか」「途中で投げ出さないか」「混沌とした中でリーダーシップを発揮し、プロジェクトをリードできるか」など、慎重に見極めようとしています。スタートアップは短期間で大きくグロースすることを目指している少人数の会社ですので、その方ひとりのパフォーマンスの出来不出来によって成長のスピードと角度が大きく変わってきます。もしミスマッチな入社となってしまった場合、時間のロスがとても大きく、後戻りが出来ないことでもあります。
双方が大きなリスクを背負ってもなお同じ目標に向かって進んでいけるかどうかを判断するため、候補者にはその会社のミッション/バリューに心から共感しているかどうかが何度も問われます。その確認方法の一例ですが、あるスタートアップでは面接前に候補者に自社の商品・サービスを実際に使ってもらうようリクエストを受ける場合があります。その商品・サービスがどんな思想に基づいて設計され、どんな価値を提供しているのかを身をもって感じていただいたうえで、その課題点と改善の方法を考えてきてほしい、面接の場ではそれを議論したい、というのが会社側の意図です。そうした熱い思いに触れた時に自分が素直に貢献したいと感じるか、それは候補者自身にとっても肩書や待遇以上に大切な判断要素になってくると思います。
カジュアル面談について
素晴らしいサービス、プロダクトを開発するスタートアップが次々と立ち上がるにつれて、優秀な方に参画して欲しいというニーズは業界全体で増え続け、結果としてスタートアップ同士の採用競争にもなってきます。そんな中で、最近では正式なアプライに先駆けてカジュアル面談を実施する企業も多くなりました。まずはお互いの求めるものをリラックスした雰囲気の中で確認し、双方で選考に進む意思があれば面接のプロセスに進む、といった趣旨です。事業内容や今後の成長戦略についての説明だけでなく、社内の雰囲気、カルチャーまでしっかりとお話いただけることが期待できます。また、場所は必ずしもオフィス内ではなく、カフェなどで実施されることも珍しくありません。
最後に
これまで述べてきた通り、スタートアップの選考は一般とは異なるフロー、観点で実施されます。候補者としてはこうした選考プロセスを通じて、その会社が目指す未来を心から肯定できるか、今どんな成長フェーズにいてどのようにグロースしていくか、そのために何が不足していてどう解消していくのか、一緒に仕事をしていく方はどんなパーソナリティなのか、そういったことまでしっかり確認した上で意思決定をすることが、非常に重要になってくると言えます。
【スタートアップの求人情報はこちらから!】
以下のページもあわせてご覧ください。
監修:アンテロープキャリアコンサルティング この記事は、アンテロープキャリアコンサルティング株式会社が監修しています。ハイクラス人材の転職に役立つ情報を発信しています。 |