不動産ファンドの年収水準について

2020-02-03 text by 渡邉 一也

不動産ファンドへの転職を目指す候補者の方から、よく「年収は魅力的な業界なのか?」という質問をいただきます。これに関して通常私は「魅力的であるのは間違いないが、候補者の期待の仕方による」と答えるようにしておりますが、今回のレポートでは、弊社がお付き合いのある数多くの運用会社の給与形態をいったん客観的に洗い出し、その一例をご紹介できたらと思います。

華やかな一面を見ますと、やはり外資系PEファンドの不動産投資部門の年収が際立っていると思います。20代アソシエイトクラスでも1000万円クラスですし、30代VP、ディレクタークラスになりますと2000万~3000万円が平均となります。

また、不動産専業の外資系運用会社になりますと、アソシエイトクラス(20代~30代前半)で800万~1300万円、35歳くらいで1500万円(ベース800万円+ボーナス700万円)程度は期待ができます。VPクラスになるとベースは1000万円程度になるため、出来上がりの年収は1700万~2500万円程度になると思われます。

無論、上記はしっかりとパフォーマンスを出していればの話であり、高い年収の陰にはパフォーマンスが思わしくなく退場させられるケースや、早朝から深夜にまで残業が及ぶこともあることを想定しておかなければなりません。

では一方、日系の運用会社はどうでしょうか? 多数の運用会社の方からヒアリングをさせていただき、おおよそ次のような2つのパターンがあると感じております。

1)年収のレンジがタイトル毎に決められており、パフォーマンス重視で年齢に関係なくタイトル及び年収が上がることが期待できる。
2)年収のレンジが年功序列的に決められており、パフォーマンスに大きく影響されず年次とともに昇給及び昇格が期待できる。

現状では1)のパターンが多数派です。大手系列の運用会社の例では、年収レンジがA~Dと別れており、もっとも下のDは400万円代から始まりAの最上層で1500万円程度に達します。ここまで到達すると年齢的には40代後半になっていることがほとんどで、さらに昇給を望むには役員クラスになる必要があります。パフォーマンス重視と言いつつ、系列ファンドの場合はほとんどが親会社の規定に則って報酬が決められているため、急激な昇給や昇格はあまり期待できないと考えておいた方がいいでしょう(中途入社する際に、著しく前職を上回る条件が提示されることもほぼありません)。

2)のパターンは少数ですが、年齢別のモデル年収が決まっているので、在籍期間に応じて自分の生涯年収がある程度可視化できるというメリットもあります。大手系列の運用会社のケースで30歳年収が600万円、35歳年収が900万円、40歳で1100万円、48歳で部長職として1300万円くらいまでが期待できます。この場合、さらにしっかりと退職金が準備されていることが魅力的です。

また、上記とは別のケースになりますが、ある独立系の運用会社では3月の決算時に1年間の全体利益の一定割合をプールしておき、社員全員(フロントだけでなくミドルバックの方も含まれる)で配分する制度があるため、社内のベクトルがひとつになり、モチベーションアップに寄与しているという話も聞いたことがあります(ちなみに1人当たり200万~800万円程度になるとのことです)。

以上、ざっくりとではありますが、不動産ファンドの給与水準について俯瞰してまいりました。最近はグローバルに展開している外資運用会社の日本マーケットへの参入も目立ち、それに伴って魅力的な報酬を提示される機会も増えてきております。国内でも新たなファンドが立ち上がり、まだまだ堅調に人材ニーズが生まれております。弊社ではそうした不動産マーケットに優秀な人材を送り出すことで、日本の不動産マーケットの発展に寄与していきたいと強く願っております。

渡邉 一也 / Kazuya Watanabe
【経歴】
成蹊大学法学部卒。地域金融機関にて法人や個人顧客を担当。与信業務・受信業務を通じて10年にわたり地域の発展に寄与。その後、大手邦銀にて10年間、住宅ローンコンサルタントとして個人顧客ならびに業者向けセールスを行う。20年以上に渡り顧客に金融商品を提供しながら信頼関係の構築に注力してきた経験を、人財というもっとも重要なリソースをクライアントに提供することに注ぐべくアンテロープに参加。

【担当領域/実績】
銀行の金融市場部門、資産運用会社(アセットマネジメント)、不動産金融、ベンチャーキャピタル、フィンテックを中心に担当。金融業界でのキャリアをベースとしたネットワークで、幅広い年齢層の転職をサポートしている。