人材エージェントの価値/使い方

2019-06-26 執筆者:加藤 浩

日本に人材紹介会社は個人で運営しているところまで含めると2万社以上もあると言われています。各社の違いは何なのか、それぞれどういう価値提供があり、どのように使い分ければいいのでしょうか。

一つの大きな答えは「志向する業界別に使い分ける」です。それはそうだろ、と思われるかもしれませんが、弊社アンテロープでも転職希望者の方が目指す業界によって提供する価値が本当に異なります。

例えば、戦略コンサルファームを目指す方々に対してエージェントが提供できる(すべき)価値は、突き詰めるとケース面接対策です。マッキンゼーを受けようと思ったら、マッキンゼーの公式HPからエントリーして直接受けることができますし、特定のエージェントを通したら面接が有利に働くといったことなどは絶対にありません。ポイントはどうやったらコンサルに受かるかで、選考がケース面接主体となるコンサルの場合はやはりケース面接をどう突破するかが最大のキーになります。

一方、投資銀行を受けようと思うと、公式HPからのエントリーで受けられなくもないのですが、特に外資系の場合は部門毎に採用を取り仕切っていたりするので、必ずしも実際の求人状況が反映されていなかったりします。また、現場の部門が多忙な中で採用活動をするので、エージェントが厳選して推薦してきた候補者に優先してお会いしているというのも実態です。そうすると、同じ投資銀行でも各部門の採用担当といかに繋がっているかがキーになり、それがエージェントが提供できる大きな価値の一つになります。

PEファンドのようなところになってくるとさらに顕著で、そもそも各社人事部のようなものはないので、現場の方(MDの方の場合もあれば、VPくらいで採用担当を兼任させるような場合もあり)といかにパイプがあるかがキーになってきます。そして、こちらも現場の方が多忙な中で採用を行うので、エージェントをたくさん使うわけにはいかず、ある程度厳選してお付き合いしているというのが実態です。

それぞれの業界についてどの程度精通しているかの深さはエージェントによって異なるので、上記のような視点から是非エージェントを見極めていただければと思います。逆に厳しい目で見ていただくことで、弊社も皆さまへ提供できる価値を最大化できるよう日々研鑽させていただいております。

加藤 浩 / Hiroshi Kato
【経歴】
上智大学法学部卒。大手メディア企業にてアジアを中心とした海外営業に10年間従事。その後、コンサルティング会社で人事領域をフロントラインで広くカバーする中、数々の優秀な人材と接触。プロフェッショナルのキャリア構築をこの手で支援したいとの強い思いから、2007年にアンテロープへ参画。

【担当領域/実績】
専門はPE投資ファンド、M&Aアドバイザリー、戦略系・総合系・再生系コンサルティングファーム。PEファンド等、マネージングディレクタークラスと独自のネットワークがない限り応募をすることすら難しい業界にも、豊富なパイプラインを持つ。情報提供はもちろん、コンサルファームのケース面接対策はじめ、キャンディデートを文字通りハンズオンで支援することにより、これまで経営トップから若手人材まで数百名の方々の転職を成功に導いてきた。