コロナ禍における2021年転職市場見通し~コンサルファーム編

2020-12-16 執筆者:加藤 浩

コンサルティングファームにおける転職市場は2020年、非常に大きな影響を受けました。特に4月から夏くらいにかけてはプロジェクトの稼働率が下がってしまったファームが多く、いわゆるアベイラブルなメンバーが多く出てしまったことから、採用も実質的に止めたり、以前よりハードルを上げる(=即戦力性をより重視する)ファームが増えました。

ただ、こういう環境下でも例えば再生案件に強いとか、DX案件を中心に取っていたファーム(もしくはその部門)はほとんど影響を受けなかったですし、最近ではクライアント企業も中期経営計画の見直しや一部事業部門の売却を検討し始めたりで、いわゆる戦略寄りな案件も戻ってきました。

現時点ではまだ2019年の水準まで回復したとは言い難いですが、例えば総合系ファームでも部門によっては完全に人手不足に陥っていて、喉から手が出るほど人材を欲しがっています。ここ数カ月を見るだけでもこの回復傾向は顕著に見えるので、1年後くらいにはもう2019年水準まで戻っていてもおかしくありません。

ただし、求められる人材スペックは結構変わってくると思います。リモートワークの負の側面でもあるのですが、手厚い人材育成が難しくなってきていることもあって、コンサル経験者が重視されていくのはまず第一。またクロスボーダー案件が完全に回復するのはもう少し時間がかかるので、まずは国内案件、事業再生、実行支援などができる人材が求められ、例えば新規事業系に強い人材などは後回しになったりします。

今年、大きな環境変化があった中で痛感したのは、本当に力が強いファームはプロジェクトテーマの変化にも柔軟に対応し収益を落とさないということ。特にパートナー陣がクライアントのことをよく理解していることから、変化に応じた提案ができていること。こういうファームで切磋琢磨されていると、ひとりのコンサルタントとしても、どこへ行ってもどんな環境になっても通用する人材になれるのだと思います。

加藤 浩 / Hiroshi Kato
【経歴】
上智大学法学部卒。大手メディア企業にてアジアを中心とした海外営業に10年間従事。その後、コンサルティング会社で人事領域をフロントラインで広くカバーする中、数々の優秀な人材と接触。プロフェッショナルのキャリア構築をこの手で支援したいとの強い思いから、2007年にアンテロープへ参画。

【担当領域/実績】
専門はPE投資ファンド、M&Aアドバイザリー、戦略系・総合系・再生系コンサルティングファーム。PEファンド等、マネージングディレクタークラスと独自のネットワークがない限り応募をすることすら難しい業界にも、豊富なパイプラインを持つ。情報提供はもちろん、コンサルファームのケース面接対策はじめ、キャンディデートを文字通りハンズオンで支援することにより、これまで経営トップから若手人材まで数百名の方々の転職を成功に導いてきた。