PEファンドにおけるモデルテストの位置づけ

2022-07-29 執筆者:加藤 浩

PEファンドの選考においてモデルテストが行われることがありますが、今回のコラムではそれがどのくらい重要なのか、ということをお伝えします。

まず、選考プロセスにモデルテストを行うPEファンドはだいたい全体の半分くらいです。つまり、約半分はそもそもモデルテストを行いません。

モデルテストを行う場合、ある程度出来上がったExcelシートを渡されて穴埋め式で回答していくパターンのものもあれば、有価証券報告書等の情報からスクラッチで作成していくパターンもあります(後者の方が当然与えられる時間は長くなります)。

また、細かく言うと、候補者のバックグラウンドによってテスト内容を分けているところもあります。投資銀行出身者とコンサル出身者では当然持っているスキルが異なるので、コンサル出身者の場合は少し簡単なものになる、というパターンです。いずれにしても作成後、面接官とディスカッションを行うというケースが結構多いです。

さて、このモデルテストの出来がどのくらい合否に影響するのか。かなり主観も入りますが、重要度は20%~30%という印象です。皆さんが想像されるよりも、その割合は小さいかもしれません。モデルテストを選考プロセスの最初に持ってきて、そこでかなり候補者をスクリーニングするというPEファンドもごく一部あるにはあるのですが、大半のPEファンドは選考の中盤~後半に行うことが多いです。つまり、1次、2次面接…と通過してきた優秀な候補者ということもありますし、PEファンド側もモデルテストは一定のスキル確認をするというのが主目的なので、意外とモデルテストで落ちるという人は少ないのです。

PEファンドを目指そうというとつい、コンサルでいうケース対策のようにモデルテストを位置づけ、そこにフォーカスして対策しようという方もいらっしゃるのですが、そもそも職務経歴が採用ニーズと合致しているのか、しっかりした志望動機を持てているか、中堅中小企業のオーナー社長に信頼されるようなソフトスキルがあるのかなど、もっと重要なポイントがあったりするので、それらをトータルしてご準備いただければと思います。もちろん、そのための準備サポートは弊社でお手伝い致します。

加藤 浩 / Hiroshi Kato
【経歴】
上智大学法学部卒。大手メディア企業にてアジアを中心とした海外営業に10年間従事。その後、コンサルティング会社で人事領域をフロントラインで広くカバーする中、数々の優秀な人材と接触。プロフェッショナルのキャリア構築をこの手で支援したいとの強い思いから、2007年にアンテロープへ参画。

【担当領域/実績】
専門はPE投資ファンド、M&Aアドバイザリー、戦略系・総合系・再生系コンサルティングファーム。PEファンド等、マネージングディレクタークラスと独自のネットワークがない限り応募をすることすら難しい業界にも、豊富なパイプラインを持つ。情報提供はもちろん、コンサルファームのケース面接対策はじめ、キャンディデートを文字通りハンズオンで支援することにより、これまで経営トップから若手人材まで数百名の方々の転職を成功に導いてきた。