刺さる志望動機書の作り方

2011-10-26 執筆者:佐藤 史子

日系企業の積極的な海外展開の動きを下支えに、コンサルティングファーム各社でもプロジェクトの動きは活況です。これに伴い戦略系、総合系の大手各社では、プロジェクトを現場でデリバリーする優秀な若手の候補者の獲得意欲が高い状態が続いています。各社の高い採用意欲を受けて、コンサルティング業界にチャレンジしたいと考える候補者の方も増えて来られたように思います。

志望動機書の作成は、コンサルティングファームへの応募を考えられる方がおそらく一番最初に着手されることの一つだと思います。ご自身が日々どのようなことを考えていて、どのような志を持ってコンサルティング業界を目指すのか、採用担当者に一番最初に送る自己プレゼンの書類です。実はこの志望書、結構しっかり読まれ、評価されています。

先日、某コンサルティング会社の採用担当をされているパートナーの方に、多くの志望書をどのようにご覧になっているか伺ってみました。

そのパートナー曰く、成長意欲が高く優秀な方が応募される業界なので、志望書にご自身の成長に関する強い意欲を書いて来られる方は非常に多いとのことです。ただ、成長意欲はとても大事であるものの、それだけでは、入社してからの厳しい業務や「up or out」のプレッシャーの中で仕事を続けていくことは出来ないと考えているし、多くの候補者の同じような内容のものを何枚も読んでいるうちに印象も薄れてしまうとおっしゃっていました。

その中で、会ってみたいと思うのは、コンサルティング業界に入って社会や顧客にどのような変化をもたらそうとしているのか、高い視座でのしっかりした目的意識が盛り込まれている志望書の方。
即ちご自分のためだけではなく、第3者に対して貢献したい、そしてどのような変化をもたらしたいのかという気持ちを、ご自分の言葉で生々しく語られていることが大切であるというのです。

確かにこれまで各ファームで内定を得られた方々の志望書にはこの「何のためにコンサルティング業界を目指すのか」のビジョンや志がご自分の言葉でしっかりと盛り込まれていました。

「震災後の日本の社会が復興に向かう中、強いリーダーシップを発揮したい」
「閉塞的な行政組織に外から変革をもたらしたい」
など、いずれもご自分が日々の仕事、あるいは世の中の動きを追う中でご自身なりの問題意識をしっかりと持ち、そこで自分の果たすべき役割を見つけた結果、コンサルティング業界を目指すのだという思いが綴られています。

ご自分発のオリジナルな思いであるが故に、その言葉にはリアリティがあり、書類を読む採用担当者に刺さることになる訳です。

前述のパートナーの方のお話に戻ると、コンサルティングは正解がない世界であるが故に、個々人にはしっかりした目的意識や信念を持っていて欲しいと結ばれていました。

志望書はみなさんそれぞれが、コンサルティング業界の門を叩く時、ご自身と向き合う最初の機会です。

ご自分が一人前のコンサルタントになった時、社会システムや企業活動がどのようなものであって欲しいか、なぜご自分がそのように考えるのか、ぜひ大胆に思い描いてみてください。

私たちキャリアコンサルタントも、そのような候補者の方々の思いをサポートできるよきパートナーであるよう、研鑽を重ねたいと思っています。

佐藤 史子 / Fumiko Sato
【経歴】
津田塾大学学芸学部国際関係学科卒。新卒で大手新聞社に入社し、取材記者として勤務。その後大手総合人材サービス会社を経て2008年より現職。人材業界でのキャリアは通算15年以上にわたる。

【担当領域/実績】
コンサルティング業界担当。毎年年間200名以上の候補者の転職やキャリア形成をサポート。外資系戦略コンサルティングファーム、総合系ファーム、会計系財務アドバイザリーファームを中心に業界でのネットワークを広く持ち、現役コンサルタントの方々との日々のコンタクトを通じて業界の生の情報に触れ、コンサルティング業界の最新動向やキャリア形成に関する知見を磨く。これらをソースにした的確な転職アドバイスに強み。大手ファームへの転職支援はもちろん、ポストコンサルの方々のファンドや事業会社のコアポジションへの転職支援実績も多数。