不況下での転職活動だからできること

2009-10-23 執筆者:佐藤 史子

100年に一度とも言われる未曾有の経済環境の悪化に見舞われ、今年の前半は転職活動をされている方々にとっては大変に厳しい状況が続いて来ました。

「なかなか書類が通過しない」「応募したいポジションが出てこない」「面接に進んでも、残念な結果に終わってしまう」こうしたお悩みを抱えつつ、一進一退を繰り返しながら、活動を続けられた方が多かったように思います。

混乱を極めてきたジョブマーケットにも、秋口に入りようやく光が差し始めました。大量解雇を行い収縮一方だった外資金融機関も、景況感の底打ちに伴なって、徐々にではありますが欠員している人材の補充に向かって動き始めました。戦略ファーム各社もプロジェクトの受注状況の好転に伴い、ポテンシャルのある方の採用に意欲を示すところもいくつか出て参りました。

求人件数が上向いてきたとはいえ、各社がまだまだそれぞれのこだわりを持って厳選採用を行っています。1件の求人に数十人単位で応募者の方が来られており、必要な実務経験を一定レベル満たしていらっしゃる方々の中での比較になるため、レベルの高い選考が行われます。では、この高倍率を突破して見事に内定を勝ち取っている人たちは、どのような方々なのでしょうか。

一概には言えませんが、ご自身のキャリアを中長期的に考えて、そこに向かって積み上げをされている方々はやはりよい結果を得られているように思います。本来の嗜好性はもちろん、ご自身のキャリア上の強みはなにか、それを活かせるフィールドはどこか、ご自身の価値観がどこにあるのか。こんなことを冷静に考えながら、ご自分と向き合い、こだわるべきところとそうでないところをしっかり見極めてジョブマーケットの変化に対処されたきたことが成功につながっているのではないでしょうか。複数内定取られた中から、高年俸のトップファームより、成長過程にある企業で本当にご自分のやりたいことができる会社を選択する方もいらっしゃいます。一例ではありますがこのくらい思い切った決断をできる方は、ご自分の物差しをしっかり持っておられ、そうしたマインドが採用企業からも評価されているように感じます。

環境の悪い中での転職活動は、いろんな意味で大変です。ただ、こんな環境だからこそ、本当の意味でご自分にとっての適性や良し悪しをじっくり検討するチャンスです。そんなみなさんのお悩みに真摯に向き合って行きたいと考えています。

佐藤 史子 / Fumiko Sato
【経歴】
津田塾大学学芸学部国際関係学科卒。新卒で大手新聞社に入社し、取材記者として勤務。その後大手総合人材サービス会社を経て2008年より現職。人材業界でのキャリアは通算15年以上にわたる。

【担当領域/実績】
コンサルティング業界担当。毎年年間200名以上の候補者の転職やキャリア形成をサポート。外資系戦略コンサルティングファーム、総合系ファーム、会計系財務アドバイザリーファームを中心に業界でのネットワークを広く持ち、現役コンサルタントの方々との日々のコンタクトを通じて業界の生の情報に触れ、コンサルティング業界の最新動向やキャリア形成に関する知見を磨く。これらをソースにした的確な転職アドバイスに強み。大手ファームへの転職支援はもちろん、ポストコンサルの方々のファンドや事業会社のコアポジションへの転職支援実績も多数。