転職エージェントとの上手な付き合い方

2010-09-29 執筆者:佐藤 史子

「人材紹介会社を通して応募するのと、自分でエントリーするのとどちらが選考に有利ですか?」

候補者の方とお話していてよくご質問いただくことの一つです。

候補者の方々にとっては、志望企業の門をたたけるのはほぼ、ワンチャンス。やり直しが効かない訳ですから、一番有利なルートを選びたいと考えるのはごく当然のことだと思います。もちろん私たちも、少しでも応募企業への可能性を上げるべくお手伝いさせていただいている訳ですし、自信を持ってお任せいただけるよう日々の活動をしています。ただ、全てにおいて万能とはいかないのも正直なところです。どちらが一律有利、ということはないのですが、ここでは紹介会社を通じて転職活動をする時のメリット、留意点について簡単に整理しておきます。


まず、選考プロセスの進めやすさ。具体的には面接になった場合のスケジュールの調整や複数応募先がある場合の進捗の調整です。お一人で活動をされる場合、特に現職中の方だと複数の応募先とコンタクトして面接日程を決めていくのは案外大変です。また複数応募先がある場合、志望度合いの高いところから先に内定が出るよう進捗調整したり、中々来ない面接結果を催促したりと、積み重なると負担になるようなことも多々起こります。

こうしたプロセス管理をプロのエージェントに依頼して、本来力を入れるべき面接対策や企業研究に力を入れられれば、合格への確率を上げることが出来ると言えます。

次に面接対策のために得られる情報量の違い。応募企業の面接担当者が知りたいことや、よく聞かれる質問事例、選考のポイントになる点など、準備に必要な情報を事前にどれだけ得られるかは、当然ながら合否に大きく影響します。

最後に一番気になる書類通過の確度、特に採用スペックが高く、求められる経験とは完全に合致しないけれども、どうしても受けたい企業の場合ですが、これは正直ケースバイケースです。エージェントが間に入って強くご推薦することで、当初の採用基準とは異なる方々が選考の土俵に上がることはもちろんあります。実際、自己応募や他エージェントからの推薦で一度不合格となってしまった方を改めてご紹介し当社からプロセスが進むようなケースも、信頼関係を築けている企業との間では発生しています。

一方で、企業側がエージェント経由での採用に一番期待するのは即戦力性、つまりHPや求人広告などの自社採用では探しきれない、求めるスペックにフィットする応募者の方へのアクセスにしたいということです。当然ながら採用企業にとってエージェント経由の採用はコストが発生しますので、その分、一定の採用要件を満たしているか、本当に欲しい人材か、スクリーニングの基準が厳しくなるケースも少なからずあります。個別の企業の考え方やエージェントとの関係性によって判断は異なり、一概には言えませんので、「ここはかなり挑戦だな」と思われる企業を受ける際は、面談の際に担当コンサルタントとよくご相談の上、最適なルートを選択されることをお勧めします。

いずれにしても、私たちのエージェントとしてのミッションは、「このエージェントからの推薦であれば、問答無用で会ってみたい」と思っていただける企業を一つでも増やし、候補者の方の可能性を広げることだと思っています。お会いする候補者の方が転職活動に成功されるよう、時には言いにくいことも誠実にお伝えしながらサポートさせていただきますので、活動を開始される方は是非ご相談いただければと思います。

佐藤 史子 / Fumiko Sato
【経歴】
津田塾大学学芸学部国際関係学科卒。新卒で大手新聞社に入社し、取材記者として勤務。その後大手総合人材サービス会社を経て2008年より現職。人材業界でのキャリアは通算15年以上にわたる。

【担当領域/実績】
コンサルティング業界担当。毎年年間200名以上の候補者の転職やキャリア形成をサポート。外資系戦略コンサルティングファーム、総合系ファーム、会計系財務アドバイザリーファームを中心に業界でのネットワークを広く持ち、現役コンサルタントの方々との日々のコンタクトを通じて業界の生の情報に触れ、コンサルティング業界の最新動向やキャリア形成に関する知見を磨く。これらをソースにした的確な転職アドバイスに強み。大手ファームへの転職支援はもちろん、ポストコンサルの方々のファンドや事業会社のコアポジションへの転職支援実績も多数。