転職活動に表れる仕事のパフォーマンス

2012-08-30 執筆者:小倉 基弘

多くの方々の転職活動を拝見させていただいていると当たり前ではありますが、その方の仕事の進め方、スタイル、ひいては仕事のパフォーマンスが転職活動そのものの進め方に表れていることを頻繁に感じます。

あるIBD出身者の方がPEファンドの面接を受ける際に実際に準備した話です。その方はある程度の情報を私たちの面談から得た上でPEファンドを志望するに至り、以下のような準備をされました。

・PE業界全般について、多くの書籍を取り寄せ読み込んで、
・アプライ予定のPE、全メンバーのバックグラウンドを把握して、
・PEファンドで既に働いている友人と食事をして職務内容、業界情報をヒアリングしてそのPEファンドのすべての投資案件を調べあげました。

ここまででも充分かもしれませんが、その方は更に、
・投資案件のそれぞれの背景(再生投資なのか、事業再編なのか、事業承継なのか等)を調べ、PEが投資企業に対してどのように貢献しようとしているのか仮説を持ち、
・投資案件が例えば外食企業であればそのお店に行って実際に食事をして、小売りであるならお店で直接買い物をして、場合によっては店員さんと話をして「最近オーナーさんが変わったみたいだけど何か変化ありました?」と質問して臨場感のある情報を得る努力をしたのです。

ここまで準備すれば、それなりに充実した面接になるでしょう。

転職活動の進め方は、その人の仕事の進め方、スタイル、ビジネスセンスがそのまま反映されます。面接をすればそれがわかります。

業界、企業によってどのようなスタイルが好まれるかは様々で、上記のような事例はあくまでIBD、PE業界に当てはまるものかもしれません。営業職であれば、また違ったスタイルが好まれるでしょう。

考えてみれば「転職」とは自分自身の人生の重要な部分を決める活動のことですから、ある意味、それは人生でとても大切な「仕事」なのかもしれません。

人生で大切な「仕事」、転職活動について、自身のスタイルを変える必要はありませんが、得意なパターンの中で精一杯の準備をすることは必要です。

ちなみに上記の方はPEファンドでオファーをいただき入社されています。

代表取締役小倉 基弘 / Motohiro Ogura
【経歴】
上智大学法学部卒。日興證券(現SMBC日興証券)を経て90年、建築関連のビジネスを起業。約7年のベンチャー経営後、プロフェッショナルのキャリアデザインに関連するビジネス創造を目指して、人材エージェントにてコンサルタントを4年間経験。2002年、「野心と向上心を持ったプロフェッショナル」に対してチャレンジングな機会提供を行う目的でアンテロープキャリアコンサルティングを設立。同社は投資銀行、プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタル、アセットマネジメント、不動産ファンド及びコンサルティングファームのフロント人材の長期的なキャリアデザインを支援している。07年アンテロープの共同創業者の増井慎二郎氏とオープンワーク(株)(旧(株)ヴォーカーズ)設立にも関わる。

【担当領域/実績】
専門は投資銀行、PE投資ファンド、投資先企業マネジメントポジション、不動産ファンド。