不況は好機

2008-12-31 執筆者:小倉 基弘

08年に続き、09年も景気は悪そうです。金融はもとより日本最大級の企業、トヨタでさえ赤字決算になる予想です。

おそらく今後、数年は世界の景気は悪く、企業にとっても厳しい時期が続くことを覚悟しなければなりません。

この時期をどのようにとらえるかは、各企業にとって重要です。

「苦労は買ってでもしろ」

「艱難八苦を我に与えよ」- 山中鹿之助

「好況良し、不況尚良し」- 松下幸之助

という先人の言葉に従えば、まさに絶好の機会が訪れたといえます。

直近の04年から07年において景気は右肩上がりで、普通に活動をしていれば、ほとんどの企業が良い決算をあげられていました。こういった時期には経営者にも慢心が生まれやすく、組織全体が弛緩してしまう時期なのではないでしょうか。

一方、環境が悪化していけば、当然景気の後押しはなくなり、今まで以上の努力と工夫がなければ成長していくことは難しくなります。状況が悪い今だからこそ、今後のさらなる飛躍のために新たな考え方、知識、スキルを身につける絶好の好機なのです。

私たちの多くは、上記の先達の英知を何度も聞いたことがあるのではないでしょうか。しかし、同時に私たちの多くは成功、成長できないまま過ごしているものです。

良く言われることですが、うまくいかない人間は無知だから成功できないのではなく、無為であるから成功、成長できないのです。

09年は上記、英知の本質を理解し、実践すべき時です。

今のアンテロープに必要なことは、専門性の深化です。私たちがカバーしている金融、コンサルティング業界の情報、知識、人脈の徹底的な深耕なのです。状況が悪くなったからといって、にわかに今までカバーしていなかった分野で仕事をしようとしても、その分野のハイエンド人材にはすぐ知識、情報、人脈がないことを見抜かれてしまうでしょう。私がキャリアを相談する立場であれば、そんなにわか専門家には対応してもらいたくありません。

自信のないエージェントはそれが組織であれ、個人であれ、今まで専門にしていた分野から去っていき、どこかのマーケットでにわかエージェントとして活動するのでしょう。しかし、私たちはこの好機にさらに専門分野を深化させ、現状では少ない機会を最大限に活用し、来るべき時期には今まで以上の優位性を持って職務を行っていきたいと思っています。

09年は今後の成長の土台作りの年となるでしょう。

代表取締役小倉 基弘 / Motohiro Ogura
【経歴】
上智大学法学部卒。日興證券(現SMBC日興証券)を経て90年、建築関連のビジネスを起業。約7年のベンチャー経営後、プロフェッショナルのキャリアデザインに関連するビジネス創造を目指して、人材エージェントにてコンサルタントを4年間経験。2002年、「野心と向上心を持ったプロフェッショナル」に対してチャレンジングな機会提供を行う目的でアンテロープキャリアコンサルティングを設立。同社は投資銀行、プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタル、アセットマネジメント、不動産ファンド及びコンサルティングファームのフロント人材の長期的なキャリアデザインを支援している。07年アンテロープの共同創業者の増井慎二郎氏とオープンワーク(株)(旧(株)ヴォーカーズ)設立にも関わる。

【担当領域/実績】
専門は投資銀行、PE投資ファンド、投資先企業マネジメントポジション、不動産ファンド。