ハイパフォーマーの性格

2009-08-31 執筆者:小倉 基弘

多くの転職希望者に会っていると時折、転職理由に現職への不平、不満を口にする方々にお会いすることがあります。

確かに完全な組織などなく、むしろ不完全な組織が大部分を占める世の中で、探していけば不平、不満は幾らでもあるのでしょう。

そういう人々はたとえ転職ができた場合でも同じように不平、不満が募るようになり、新しい職場でも再度同じような状態になるようです。そして、そういった人材はその現職でローパフォーマーであることがほとんどです。

ローパフォーマーは「他責」(他者の責任)でものを考えるので、他者への不平不満が多く、ハイパフォーマーは「自責」(自分の責任)でものを考えるため、不平不満は常に自分に向かっているのです。

職場環境、就業環境には必ず欠点、改善余地があるものです。この状況の中でハイパフォーマーは「自責」でものを考え、自分のパフォーマンスを上げるのは自分自身の責任であることを強く認識しています。自身のどこを改善すれば、周りの環境が変わる機会を提供することができるのかという発想をしているのです。決して逆の発想、周りが改善してくれれば自分のパフォーマンスが上がるとは考えないのです。究極的にはどのような組織であっても、また組織がどのような体制をとっていても関係なくパフォーマンスを上げ続けています。結果的に組織内での信頼度合いは上がり、彼らの意見は受け入れられるのです。

一方、ローパフォーマーは「他責」でものを考え、組織がこう変わらなければ自分のパフォーマンスが上がらない、上司が自分を認めてくれないからパフォーマンスが上がらない、経営陣の意識が低いからパフォーマンスが上がらない、会社の方向性がわからないからパフォーマンスが上がらない等、常に不平不満ばかりを周囲に洩らしています。ランチタイムや就業後に居酒屋で同僚相手に、また昔の友人相手にこの手の不満不平を話しているのは、概してこの手の輩でダメサラリーマンの典型です。さらにパフォーマンスが上がっていないため組織内での信頼性が低く、職場では意見が受け入れられにくくなります。

この世で変えることができるのは唯一自分自身のみであることを理解するは重要なことです。変えることができるのは自分自身の思考、感情、行動のみで他人のそれではないのです。家族のそれでさえ無理でしょう。まして同僚、部下、上司、経営者、総じて就業環境は絶対に変えることができません(だから転職して変えようとするのかもしれませんが)。

自分自身の考え方、感情、行動を変化させ現状を打開しパフォーマンスをあげる事のみが人間ができることであり、成長への道なのです。

代表取締役小倉 基弘 / Motohiro Ogura
【経歴】
上智大学法学部卒。日興證券(現SMBC日興証券)を経て90年、建築関連のビジネスを起業。約7年のベンチャー経営後、プロフェッショナルのキャリアデザインに関連するビジネス創造を目指して、人材エージェントにてコンサルタントを4年間経験。2002年、「野心と向上心を持ったプロフェッショナル」に対してチャレンジングな機会提供を行う目的でアンテロープキャリアコンサルティングを設立。同社は投資銀行、プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタル、アセットマネジメント、不動産ファンド及びコンサルティングファームのフロント人材の長期的なキャリアデザインを支援している。07年アンテロープの共同創業者の増井慎二郎氏とオープンワーク(株)(旧(株)ヴォーカーズ)設立にも関わる。

【担当領域/実績】
専門は投資銀行、PE投資ファンド、投資先企業マネジメントポジション、不動産ファンド。