キャンディデイトの方々との信頼関係構築

2012-08-30 執筆者:小倉 基弘

個々のキャンディデイトと強い信頼関係を構築することが、優秀なキャンディデイトの方々のネットワークを創り、そこから大きな付加価値が生まれ、最終的にはキャリアコンサルタントとして実力を高めることになります。

私たちは次の基本的な事実を認識することから始めなければなりません。

キャンディデイトの方々は少なくとも当初はどこのエージェントに頼んでもサービスに大した差はないと思っている、ということです。つまり、普通の対応をしていてはキャンディデイトの方々と本当の信頼関係を築くのは難しいのです。

サービスに差をつけることは難しいし、かつ一度、良いサービスを提供してもすぐに他社に模倣されてしまうのです。だからといってあきらめるのではなく、更に一層、普段行っているサービスを少しでも、1ミリでも良くする努力が必要であるし、キャンディデイトの方々にしっかりと向き合って関係を築いていこうという姿勢が大切です。

例えば以下のような事に気持ちを配り、改善させていくことが必要です。

・初回面談の時に相手のニーズを推測して、どういった情報提供、アドバイスを準備すべきなのか。
・その後のコミュニケーションはどのようなタイミングでとっていくのか。
・メールでは自分の気持ちを伝えるために、どのような文面にするべきなのか。
・すぐに転職活動に入らない方々にどのような頻度でコミュニケーションをとっていけばよいのか。
・面接になった場合に筆記試験のアドバイス、面接のアドバイスをより付加価値を付けた形で提供するにはどうしたら良いのか。
・面接プロセスが終盤に差し掛かってきた時に、どのようなアドバイスをキャンディデイトの方々が求めているのかを考えて、タイミングよくそのアドバイスを提供するにはどうしたら良いのか。
・初回面接をしたけれども当社では対応が難しいと判断したキャンディデイトの方々に対して、例えば転職活動全般のアドバイスをする、転職活動に必要な書類(履歴書、職務経歴書、志望動機書)の書き方のアドバイスをする、希望しているポジションを獲得するためには何が必要で今後どうすれば良いかをアドバイスする等の対応して、少なくとも弊社まで時間を割いて来社されたことについて「価値があった」と感じてもらうためにはどうすれば良いのか。
・一旦、プロセスが終了(転職活動終了もしくは中断)した後のコミュニケーションの取り方はどうすれば良いのか。
・信頼関係を長きにわたって構築していきたいと考えているキャンディデイトの方々に対して、定期的に会ってコミュニケーションをとるにはどのようにすれば良いのか。
・また、会った時にどのような情報、アドバイスを提供すればキャンディデイトの方々が私たちに会いたい、もしくは会っても良いと感じてくれるのか。
・ご友人、知り合いを紹介してもらうタイミング、リクエスト方法はどのようにすれば良いのか。

こういったサービスを少しずつでも良くしていき、また、継続して改善していけば、大きな差別化を生むことができます。そして私たちのバリューであるCandidate Firstに近づいていくことになるのです。

代表取締役小倉 基弘 / Motohiro Ogura
【経歴】
上智大学法学部卒。日興證券(現SMBC日興証券)を経て90年、建築関連のビジネスを起業。約7年のベンチャー経営後、プロフェッショナルのキャリアデザインに関連するビジネス創造を目指して、人材エージェントにてコンサルタントを4年間経験。2002年、「野心と向上心を持ったプロフェッショナル」に対してチャレンジングな機会提供を行う目的でアンテロープキャリアコンサルティングを設立。同社は投資銀行、プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタル、アセットマネジメント、不動産ファンド及びコンサルティングファームのフロント人材の長期的なキャリアデザインを支援している。07年アンテロープの共同創業者の増井慎二郎氏とオープンワーク(株)(旧(株)ヴォーカーズ)設立にも関わる。

【担当領域/実績】
専門は投資銀行、PE投資ファンド、投資先企業マネジメントポジション、不動産ファンド。