内定を獲得する人の共通点

2013-08-31 執筆者:小倉 基弘

多くの方々を企業に紹介していて感じることは、そのポジションに必要な専門性、経験以外の点で、幾つかの共通する能力が内定獲得に影響しているということです。誠実である、人柄が良いといった個性の部分での基本的な事はもちろんありますが、以下のような能力について組織が人を採用しようしている際に重視していることは企業側からのフィードバックを聞いている限り間違いないようです。

「コミュニケーション能力が高い」

当たり前の話かもしれませんが、面接は99%以上が初対面で企業側の面接者と候補者がコミュニケーションをとる場になります。おそらく30分から1時間で面接者によって候補者が自社で働くことが可能かを判断するという、ある意味非常に不合理な状況の中での意思決定を行う場になるのです。この時に上記の専門性、経験についての確認ももちろん行いますが、一緒に働きたい人材であるか、もしくは自社の代表として顧客の前に出しても大丈夫な人材か、言い換えれば、初対面であっても相手に信頼を得られるような対応力を持っている人材であるかを判断しているのです。

「目指す企業の職種のRequirementを理解する能力が高い」

その企業が当該ポジションでどのような人材を求めているのかを理解する能力が高い、というのは、書面で書かれているジョブディスクリプションを字面で理解するのではなく、一般的にそのポジションで求められている人材像の理解はもちろんのこと、さらに個別にその企業で求められている人材像、またこのタイミングで求められている人材像がどのようなものであって、それに対して自分自身のスキル、経歴上、どこをもっともアピールすれば良いのか、足りないものについてはどのように説明をすれば良いのかについても把握する能力です。このRequirementの背景についてはエージェントとして把握していることを候補者の方々に事前にお伝えできることもありますが、内定を獲得する人たちはその情報だけでなく自分自身で他の情報も集めて自分なりの仮説を持って面接に臨んでいます。

「目指す企業、部門の情報を詳細に把握している」

上記の「職種のRequirement」を理解する能力の前提になるかもしれませんが、その企業、部門の時事的な話題、場合によっては部門にいるメンバーについての詳細情報を収集して把握する能力が高ければ、面接においてその得られた情報に基づいて回答をしたり、話題を提供したりすることによってリサーチ能力、職務に対する徹底性、また「よくそこまで知っているな。そこまで知っているということは志望動機も強いのであろう」と面接者に評価されるのです。

これら3つの能力は結局、仕事で成果を出していくために必要な能力でもあります。ポジションによってはある一定のポテンシャルを見てもらえるようなものもありますが、このポテンシャル、伸び代は主に上記の能力から評価されているようです。結局は面接そのものも仕事と同じであり、面接にどのように対応してくるかは候補者の仕事に対する姿勢と同じなのです。

代表取締役小倉 基弘 / Motohiro Ogura
【経歴】
上智大学法学部卒。日興證券(現SMBC日興証券)を経て90年、建築関連のビジネスを起業。約7年のベンチャー経営後、プロフェッショナルのキャリアデザインに関連するビジネス創造を目指して、人材エージェントにてコンサルタントを4年間経験。2002年、「野心と向上心を持ったプロフェッショナル」に対してチャレンジングな機会提供を行う目的でアンテロープキャリアコンサルティングを設立。同社は投資銀行、プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタル、アセットマネジメント、不動産ファンド及びコンサルティングファームのフロント人材の長期的なキャリアデザインを支援している。07年アンテロープの共同創業者の増井慎二郎氏とオープンワーク(株)(旧(株)ヴォーカーズ)設立にも関わる。

【担当領域/実績】
専門は投資銀行、PE投資ファンド、投資先企業マネジメントポジション、不動産ファンド。