バイアウトファンドの存在意義

2010-01-30 執筆者:小倉 基弘

ジョブマーケットも最悪時期を脱し、少しずつIBD、PE等での採用が始まってきました。
ただ、強いトレンドではなく、まだリハビリ状態の様相です。
先日、数年前に弊社の紹介でバイアウトファンドに入られた方とそのファンドの投資先のマネジメントとしてご入社された方と食事をする機会があり、現状では低迷しているバイアウト業界の存在意義についてそれぞれが感じていることを伺うことができました。
昨年は日本を撤退したファンド、解散したファンド等もあり、業界内でもバイアウトファンドの存在意義について考え始めている方が多くいらっしゃるようです。

一般的にバイアウトファンドは
①資金提供
②経営支援
③ガバナンス強化
などの役割を持っていますが、特に②が本当にできるのか、またできる人材がこのファンド業界にいるのかについて懐疑的になっている人が多いようです。

ファンドのフロント人材は高い金融スキルもしくは戦略コンサルティングスキルを持っている集団ではあるが、真の事業経営経験者がいなく、投資後の現実を見ているとこの部分の力が弱く、人心掌握が出来ない段階で戦略を実行しようとしてうまく行かないケースが多くあるとのことでした。
結局、企業は人により運営されているのですから人を動かすことができなければダメ、ということなのでしょうか。

厳しい時期にはどの組織も存在意義が問われるものです。
ファンド業界も09年の厳しい時期から学び、次の飛躍に繋がれば良いと思います。

代表取締役小倉 基弘 / Motohiro Ogura
【経歴】
上智大学法学部卒。日興證券(現SMBC日興証券)を経て90年、建築関連のビジネスを起業。約7年のベンチャー経営後、プロフェッショナルのキャリアデザインに関連するビジネス創造を目指して、人材エージェントにてコンサルタントを4年間経験。2002年、「野心と向上心を持ったプロフェッショナル」に対してチャレンジングな機会提供を行う目的でアンテロープキャリアコンサルティングを設立。同社は投資銀行、プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタル、アセットマネジメント、不動産ファンド及びコンサルティングファームのフロント人材の長期的なキャリアデザインを支援している。07年アンテロープの共同創業者の増井慎二郎氏とオープンワーク(株)(旧(株)ヴォーカーズ)設立にも関わる。

【担当領域/実績】
専門は投資銀行、PE投資ファンド、投資先企業マネジメントポジション、不動産ファンド。