IBD、PEの面接に備える

2010-06-26 執筆者:小倉 基弘

昨年後半より最盛期に比べれば少ないながらも徐々に、投資銀行 投資銀行本部(IBD)またプライベートエクイティ(PE)からの求人が増えてきています。
現状ではアナリスト、アソシエイト職のポジションが多く、特にアナリストではIBD、PEでの業務経験が無い方でもポテンシャルを見て採用するケースがあります。
ポテンシャルを見ていただけるキャリアとしては英語がある程度できるという前提は必要になりますが、会計士、大企業での財務経験者、戦略系コンサルティングファーム出身者、場合によっては官僚出身者等様々です。
これらの方々がIBD、PEを希望し首尾よく書類が通過し面接になった場合、以下のような質問をされる場合があります。

「この3ヶ月間に起こったM&A、もしくはPEによる買収事例を3つあげて、それぞれの背景、また買収主体の長期的な目的を説明してください。そのうえであなたはその3つの事例の中で、どのM&Aに一番興味があるか、そしてそれは何故かを教えてください」

この質問に目が泳いでしまう方はIBD、PEの面接で撃沈してしまいます。

同業界で働いているほとんどの方は上記に対し、自分なりの答えを持っていると思いますが、それは日々の仕事を通して常に情報収集し、考えているからです。

他業界もしくは他の職種からIBD、PE業界に移ろうとする方々に対しては面接でどの程度、志望度合いが強いかを上記のような質問で試されるのです。
「M&Aをやりたいんです」
「投資ビジネスに魅力を感じているんです」
というようなことをどんなに熱っぽく語っても、それでは新卒の面接となんら変わりません。

先方は、「本当にこの業界に入りたいのだったら、この業界に関連する日々の事例、情報を取得し、その背景を調べ、自分なりの意見を持っているだろう。そしてその為には関連する書籍も相当数読んでいるだろう。もしそうでないのであればそれは根本的に志望動機が弱く、単にあこがれているに過ぎない」と考えています。

業界、職種を変える転職の動機の強弱は、その目指す業界、職種のことを具体的に調べあげているか、またその上で自分自身の考え、意見をそれらについて述べることができるかで測ることができます。

何故、この業界を志望しているのか、何故、この会社を志望しているのか。
相手のことを充分に徹底的に知る。
面接の準備はそこから始めてください。

代表取締役小倉 基弘 / Motohiro Ogura
【経歴】
上智大学法学部卒。日興證券(現SMBC日興証券)を経て90年、建築関連のビジネスを起業。約7年のベンチャー経営後、プロフェッショナルのキャリアデザインに関連するビジネス創造を目指して、人材エージェントにてコンサルタントを4年間経験。2002年、「野心と向上心を持ったプロフェッショナル」に対してチャレンジングな機会提供を行う目的でアンテロープキャリアコンサルティングを設立。同社は投資銀行、プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタル、アセットマネジメント、不動産ファンド及びコンサルティングファームのフロント人材の長期的なキャリアデザインを支援している。07年アンテロープの共同創業者の増井慎二郎氏とオープンワーク(株)(旧(株)ヴォーカーズ)設立にも関わる。

【担当領域/実績】
専門は投資銀行、PE投資ファンド、投資先企業マネジメントポジション、不動産ファンド。