モンスターキャンディデイト

2011-02-23 執筆者:小倉 基弘

 自分が何かのサービス提供を受けたり、物品を購入したりする時に、こちらの態度が横柄になったり、先方に無理な要求をしている自分に気付いて恥ずかしいというか、自分に嫌気が差すときがあります。特に高級レストランで食事をする時とか、高価なものを購入したりする時は、それだけ期待も大きいのかもしれませんが、上記のようなことを経験するときがあります。このことがある一定水準を超えると、最近良く聞かれる、モンスターカスタマーに自分がなっているのかもしれません。

 今の仕事をしていると、特に個人側(キャンディデイト)にそのような方が多くいらっしゃり、時折閉口することがあります。
・ 約束した時刻にいらっしゃらず、連絡も無い。
・ 突然電話をされてきてこちらの都合を考えず、「今から行っていいですか。」
・ 来社される前に購入されたらしきスタバのコーヒーをミーティングルームに持ち込んで飲みながら話をされる。
・ サンダル履きで来社される。
といったビジネス上基本となるものが疎かになっている方もいますし、
・ 例えば、投資銀行、戦略系コンサルティングファーム各社の高いRequirementに達していない経歴、スキルの方が、「それでも入れるようにするのがエージェントの役目だろう。」と発言される。
・ 「書類が通過しないのはエージェントの責任だ。」との発言をされる。
といったことにも時折遭遇します。

おそらく、それぞれの方には悪気はなく、エージェントをお使いになった事が無く、エージェントがその言葉通り、企業側(個人側)の代理でスクリーニングを行っているということについて理解されていないのかもしれません。また、私たちは企業側と強いリレーションをとっており、私たちが高く評価すれば、企業側に強くお薦めし、例えば1度、Web経由で直接アプライしたり、他社エージェント経由でアプライしてNGになっていても書類を通過できる場合もありますが、上記のような行為を目の当たりにすればそれは難しいのです。

当然のことですが、私たちはすべてのキャンディデイトの方々に対して同じクオリティーのサービスを提供しているわけではありません。上記のように、基本的なビジネスマナーが出来ていない方、不誠実な方、常識的な考え方が出来ていない方にはエージェントとして企業にご紹介できないのはある意味当たり前のことであり、紹介するのであればそれ自体が企業に対して不誠実な行為になると思います。

サービスの提供を受ける側もサービスを提供する側に対する配慮が必要です。お互いの信頼関係があってこそ、そのサービスのクオリティーもあがるものだと思います。

翻って私も日常生活でサービスを受けるときに気をつけていきたいと思っています。

代表取締役小倉 基弘 / Motohiro Ogura
【経歴】
上智大学法学部卒。日興證券(現SMBC日興証券)を経て90年、建築関連のビジネスを起業。約7年のベンチャー経営後、プロフェッショナルのキャリアデザインに関連するビジネス創造を目指して、人材エージェントにてコンサルタントを4年間経験。2002年、「野心と向上心を持ったプロフェッショナル」に対してチャレンジングな機会提供を行う目的でアンテロープキャリアコンサルティングを設立。同社は投資銀行、プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタル、アセットマネジメント、不動産ファンド及びコンサルティングファームのフロント人材の長期的なキャリアデザインを支援している。07年アンテロープの共同創業者の増井慎二郎氏とオープンワーク(株)(旧(株)ヴォーカーズ)設立にも関わる。

【担当領域/実績】
専門は投資銀行、PE投資ファンド、投資先企業マネジメントポジション、不動産ファンド。