震災からの復興

2011-03-30 執筆者:小倉 基弘

3月11日に発生した東日本大震災により、お亡くなりになられた方々、またそのご家族の方々には衷心よりご冥福をお祈り申し上げますと共に、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

まだあの大震災からそれほど日が経っておらず、いまだに頻繁に余震も発生し、原発の問題も解決していないこの時期に復興という言葉はまだ相応しくないかもしれません。この想像を超えた災害から少しでも社会が良い方向に向かい、最終的に復興してゆく過程で、エージェント業務を行っている私たちに何が出来るかを考えてこの文章を書いています。

今回の震災では東北地方を中心に言葉では言い表せない甚大な被害が出ています。人類はこういった予想を超える天災、あるいは戦争、テロといった人災による大きな社会的、経済的、精神的ダメージから立ち上がり、復興することを繰り返し、常に成長を遂げています。
まるで永遠に成長してゆくことが宇宙の法則であるかのように、その時々で多くの犠牲を出しながらも、生き長らえた人々によって必ず元の状態以上に復元しています。
おそらく筆舌に尽くし難い状況の中で人々は多くのことを学び、そこで得られた教訓を活かし、それぞれが辛く厳しい現実の中でも歯を食いしばりながら努力を再開したからだと思います。
元来、人間というものは「成長してゆく」あるいは「前進してゆく」ということがDNAにインプットされているのでしょう。それがこういった危機的状況の中で今まで以上に強く働き、未来に向かって成長の為に動き始めるのではないでしょうか。
近代日本も明治維新の過程で勃発した幾つかの内戦、関東大震災という天災、第二次世界大戦での敗戦といった壊滅的な状況になってもその後、驚くべき復興、成長を遂げています。こういった日本の近代史を見てもそれは事実ではないでしょうか。

こういった復興過程の中での個々人の役割とは、それぞれが日々の生活で窮地に追い込まれながらも自分の能力を十二分に発揮し、日々少しずつでも前進し、新しい組織、仕組を創造し、技術革新を起こし、企業、産業を興してゆくことによって社会全体としての成長を牽引してゆくことになるのだと思います。
今回の悲劇の中からもおそらくは来る日本経済の発展を牽引してゆく個々人が現れるものと思われます。何か特別なこと、大それたことを行う必要はありません。私たちはそれぞれがそれぞれの機会の中で強い危機感を持って私たちの能力を最大限に発揮しやるべき仕事をやり遂げれば良いのです。

私たちアンテロープとしてはこういった状況の中でも、日々、成長してゆこうとする個人に対してその自己実現の機会提供を粛々と行ってゆくことが使命であると考えています。社会全体が萎縮しているこのような時であるからこそ、人が本来持っている成長意欲を遮ることなく、逆境をばねにした通常より強い意欲に火をつけるような機会提供をしてゆきたいと考えています。
アンテロープが主としてサービスを提供している金融業界、コンサルティング業界もそれぞれが復興の為の努力を再開しています。私たちもこういった業界に一人でも向上心溢れる意欲的な人材をご紹介することにより微力ではありながら日本社会の復興に役に立ちたいと思います。
人がそれぞれ持っている能力、成長する力に気付き、働き出すことを再開し、それが組織、チームとなって大きな力に変化してゆけば社会は一歩一歩復興へ向かって前進してゆきます。
強い危機感を持ち、しかし人が本来持っている成長意欲を信じて、私たちの職責を果たしてゆきたいと思います。

代表取締役小倉 基弘 / Motohiro Ogura
【経歴】
上智大学法学部卒。日興證券(現SMBC日興証券)を経て90年、建築関連のビジネスを起業。約7年のベンチャー経営後、プロフェッショナルのキャリアデザインに関連するビジネス創造を目指して、人材エージェントにてコンサルタントを4年間経験。2002年、「野心と向上心を持ったプロフェッショナル」に対してチャレンジングな機会提供を行う目的でアンテロープキャリアコンサルティングを設立。同社は投資銀行、プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタル、アセットマネジメント、不動産ファンド及びコンサルティングファームのフロント人材の長期的なキャリアデザインを支援している。07年アンテロープの共同創業者の増井慎二郎氏とオープンワーク(株)(旧(株)ヴォーカーズ)設立にも関わる。

【担当領域/実績】
専門は投資銀行、PE投資ファンド、投資先企業マネジメントポジション、不動産ファンド。