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- M&Aアドバイザリーへの転職を解説! 仕事内容や必要なスキルは?
M&Aアドバイザリーは、M&A相手の選定からスキーム構築、買収/売却金額交渉、買収資金の調達まで、M&Aのプロセスを総合的にサポートする仕事です。専門的なファイナンス知識と高度なスキル、それらのパフォーマンスを発揮させる体力が要求されますが、仕事の内容に見合った高収入を得られることが多く、M&A関連でも人気の高い職業となっています。
ここでは、M&Aアドバイザリーの仕事内容や、想定される年収をご紹介します。併せて、求められる経験やスキル、面接時のポイントなどについても見ていきましょう。
<目次>
M&Aアドバイザリーとは?
転職市場の最新動向
M&Aアドバイザリーの仕事内容
M&Aアドバイザリーの年収は?
M&Aアドバイザリーに求められるスキル・経験
M&Aアドバイザリーの採用選考・おすすめの面接対策
M&Aアドバイザリーに向いている人
未経験からM&Aアドバイザリーに転職は可能?
転職エージェントに相談するメリット
M&Aアドバイザリーへの転職希望者にキャリアコンサルタントからアドバイス
M&Aアドバイザリーとは?
M&Aアドバイザリーとは、企業のM&Aプロセスを総合的に支援する人のことです。買収または売却を希望するクライアント企業から依頼を受け、M&Aの複雑なプロセスをサポートし、クライアント企業の利益の最大化を図ります。
M&Aコンサルタント、M&A仲介との違い
M&Aアドバイザリーと似ているようで業務内容が異なる職種としては、M&AコンサルタントとM&A仲介があります。
M&Aアドバイザリーの職域を確認するために、まずはM&A支援で求められる業務内容を見ていきましょう。M&A支援業務は、大きく次の3つに分けられます
<M&A支援業務の3つの領域>
(1)全社経営戦略を踏まえた上でさまざまな試算やシミュレーションを行い、M&A実行の可否を提案するプレM&A戦略コンサルティング
(2)M&A実施決定後、M&Aの相手方の選定、スキーム構築、買収/売却金額交渉、買収資金の調達など、契約締結に至るまでの諸手続きの支援
(3)買収完了後、企業の組織再編やシステムの統合、業績アップのための戦略立案を目的としたコンサルティング
このうち、(2)の部分を担当し、主に大手企業のM&Aプロセスにおける財務面を中心とした総合的な支援を行うのがM&Aアドバイザリーになります。
M&Aコンサルタントは、上記3つの業務内容のうち(1)や(3)の部分を担当する仕事です。
一方、M&A仲介の任務は、クライアントである買い手または売り手の利益の最大化ではなく、中立な立場で双方に利益をもたらすM&Aの成立です。クライアントの多くが大手企業のM&Aアドバイザリーとは異なり、主に中小企業の仲介案件を扱う点で違いがあります。
ただ、これらの呼び方には厳格な定義があるわけではありません。求人情報によっては「M&Aアドバイザリー」の募集でも、仕事内容は(3)の組織統合コンサルティングや、M&A仲介という場合もありますので、ご注意ください。
転職市場の最新動向
M&Aアドバイザリーを募集しているのは、主に外資系投資銀行、日系投資銀行、Big4と呼ばれる4つの大手会計事務所、独立系財務コンサルティングファームといった企業です。
外資系投資銀行としては、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェース・アンド・カンパニー、モルガン・スタンレーなどが挙げられ、超大型のM&A案件や、国境を越えて行うM&Aであるクロスボーダー案件を主に扱っています。
日系投資銀行としては、三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの投資銀行部門や、野村証券、大和証券などが挙げられます。
Big4と呼ばれる4つの大手会計事務所は、デロイト トウシュ トーマツ、KPMG、アーンスト&ヤング、プライスウォーターハウスクーパースを指します。
独立系財務コンサルティングファームは、主に中小企業を対象に生産性向上や品質管理など、現場レベルでの競争力増強に強みを持っている会社が多いです。
M&A業界の動向
M&A市場は、時に落ち込むことはあるものの、2000年代以降はほぼ右肩上がりで拡大を続けています。
取引額は、2018年には過去最高の29兆8800億円を記録しました。2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、前年比で案件数8.8%減となったものの、戦略的M&Aや業界再編、事業承継のM&A需要は多く、コロナ禍の影響がなくなれば、M&A件数も再び増えると予想されています。
M&Aアドバイザリーの需給状況
M&A業界の活況を受けてM&A関連人材の需要は増していますが、M&Aアドバイザリーは非常に専門的な知識・スキルが求められることから、M&Aコンサルタントなどに比べると採用人数は多くありません。
例えば、外資系投資銀行では、募集枠は1社につき年間2~3人 程です。一方で、M&Aアドバイザリーへの転職を希望する人は多く、2~3人の募集に対して応募者が100~200人に上ることも珍しくありません。かなりの狭き門であることがわかります。
M&Aアドバイザリーの仕事内容
M&Aアドバイザリーの具体的な仕事内容には、下記のようなものがあります。M&Aプロセスにおける財務面を中心に、いかに総合的な支援をM&Aアドバイザリーが担っているのかがわかると思います。
買収先/被買収先企業の選定
M&Aアドバイザリー自身や、所属する会社のデータバンク・ネットワークなど使って、クライアント企業のニーズに合う買収先/被買収先企業を探します。
企業調査(デューデリジェンス)
選定した企業が買収先/被買収先として適しているかを、財務、税務、法務、ビジネスと、さまざまな面から分析します。必要に応じて、税理士事務所や法律事務所などとも組んで調査を行います。
取引条件交渉
買収/被買収企業の候補先へ打診し、クライアントの代理として取引条件の交渉を行います。クライアントの利益の最大化を目指し、最終的には基本合意書や契約書の草案作成まで行います。
資金調達サポート
クライアントが買収する側の場合は、買収資金調達のアドバイスを行います。上場企業の場合は、対外公表のための株主総会開催やIR対応のサポートも業務範囲です。
組織統合(ポスト・マージャー・インテグレーション)
M&A成立後の組織統合は、M&Aコンサルタントの職域ですが、企業によってはM&Aアドバイザリーの業務に含まれる場合もあります。統合プランの策定や新組織体制への移行の進捗管理、システムの導入支援、M&A後の会計・税務処理に関するアドバイスなど、その内容は多岐にわたります。
資料作成
M&Aを成功させるためには、クライアントにはもちろん、買収先/被買収先のM&Aアドバイザリーや経営者にも、さまざまな事柄について説明する必要があります。
クライアントには進捗状況の報告をし、相手方へは契約条件やM&A成立後から実施までの流れなど説明します。そのための資料やレポートを作成する必要がありますが、レポート作成は、若手社員が担当することが多いです。
M&Aアドバイザリーの年収は?
幅広い業務を任せられるM&Aアドバイザリーの業務内容はハードではありますが、その分成果が報酬として返ってくる傾向があります。
続いては、過去に掲載された求人例をご紹介します。M&Aアドバイザリーに求められる仕事内容や必要経験、想定年収を見ていきましょう。
■M&Aアドバイザリーの年収例
企業名 | 仕事内容 | 必要経験 | 想定年収 |
---|---|---|---|
独立系M&Aアドバイザリーファーム | M&Aアドバイザリー業務(アドバイザリー業務実行時の各種資料作成、マネージャーサポート業務等) | M&Aアドバイザリーの経験 | 500万~1000万円前後 |
新鋭のM&Aアドバイザリーファーム | 案件の発掘からクローズまで、案件の責任者としてM&Aの一連のプロセスを担う | ・法人営業、金融、財務会計、コンサルティング等の経験者 ・コミュニケーション能力、営業力、地頭の良さ、向上心がある方 ・M&A業務の経験があることが望ましい(少なくとも、ある程度決算書が読めること) |
480万~1700万円 (インセンティブ賞与の上限なし) |
国内独立系のFAS(※1) | M&Aアドバイザリー(国内・海外) トランザクション支援(国内・海外) PMI(※2) |
金融機関の法人営業、法人ソリューション/プロダクト部門、FAS、投資ファンドでの実務などの経験 | 500万~700万円 |
同上 | 同上 | M&Aアドバイザリー業務等の経験 | 500万~1500万円 |
M&Aアドバイザリーファーム | M&Aに関わるアドバイザリー業務全般 | 対法人業務経験等 | 500万~1300万円 |
※1 ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス:M&Aや財務に関連した課題解決を主に行うコンサルティングファーム。
※2 ポスト・マージャー・インテグレーション:M&Aにおいて、最大の統合効果を発揮させるための統合プロセスとマネジメントを指す。
M&Aアドバイザリーに求められるスキル・経験
M&Aアドバイザリーへ転職を希望する際、外資系投資銀行を目指すのであればM&Aアドバイザリーとしての実務経験が求められます。そのため、日系投資銀行で経験を積んでから、外資系への転職を目指すのが一般的なキャリア形成になります。日系投資銀行や独立系ファームであれば、M&Aアドバイザリー未経験でも応募可能なケースがあります。
ただし、M&Aアドバイザリー未経験でも応募可能といっても、何らかのM&A業務の経験を持っていることが望ましいことには変わりありません。もし、完全に未経験の場合は、金融機関や会計事務所、事業会社の財務関連部門などでの勤務経験があり、一定のファイナンス知識を備えていることが求められます。
事業会社でM&A業務や事業投資に携わっていた経験や、戦略コンサルタントとしての経験のほか、経営企画や事業企画、財務・経理部門での経験などはポジティブに評価され、公認会計士や税理士資格保有者は当然ながら歓迎されます。
このほか、コミュニケーション能力や問題解決能力、論理的思考能力なども必要です。英語力は必須ではありませんが、高い英語力がある人は歓迎される傾向があります。
転職者の年齢としては、20代前半~30代後半がボリュームゾーンで、中でも20代後半のニーズが根強いです。 体力が必要な仕事でもあるので、若い人に好まれる傾向があります。
M&Aや財務に関する知識・スキルがチェックされる
M&A未経験者でも、M&Aや財務に関する知識は必須です。選考は、「M&Aに興味があるなら最近の関連ニュースをチェックしたり、財務分析について勉強したりしているはず」という前提で進むので、未経験でも少なくとも関連書籍は読んで勉強しておきたいところです。
「最近気になったM&Aニュースは?」「気になったのはなぜ?」「そのニュースのポイントは?」といった質問は、面接でよく聞かれますので押さえておきましょう。「バリュエーションの方法はわかる?」「DCF法とは?」など、財務スキルについての確認はあるので、事前の準備は欠かせません。
事業会社で事業投資の経験があり、業務を通して企業分析スキルを身につけたといった経験があれば、アピールポイントになります。
M&Aアドバイザリーに最低限必要なスキル
M&Aや財務に関する知識以外にもM&Aアドバイザリーに求められるスキルはあります。M&Aアドバイザリー未経験者の人は、特に下記のようなスキルが自分にあるかご確認ください。
・資料作成スキル
若手のうちは、企業分析や資料づくりを担うことが多いため、資料作成のスキルは確認されます。
ExcelやPowerPointの基本的なスキルについては、聞かれるものだと思っていいでしょう。
・基本的な分析力
M&Aアドバイザリーならではの特徴的な質問はありませんが、受け答えを通じて基本的な分析力の有無は見られています。
・必須の交渉力
クライアントの代理として取引条件交渉を行うのは、M&Aアドバイザリーの重要な仕事のひとつです。タフな交渉をこなさなければいけないので、交渉力の下支えとなるコミュニケーション能力は必須のスキルとされます。分析に特化した人材よりも、分析力も交渉力もバランス良く兼ね備えていることが求められます。
・迅速に判断できる瞬発力
期限内にM&Aを成功させるために、繁忙期は数日徹夜が続くこともあります。そのため、過酷な環境でも仕事に集中し続けられる体力と、常に迅速に判断ができる瞬発力が重視されます。
M&Aコンサルタント、M&A仲介会社勤務は経験者扱いになる?
M&Aアドバイザリーは、主にM&A後の組織統合を担うM&Aコンサルタントに比べて、より高度なファイナンス知識が必要になります。そのため、M&Aコンサルタントとしての経験があっても、M&Aアドバイザリーの経験者枠には入りません。
また、上場企業などの大企業と中小企業のM&Aではサポート内容が違うため、中小企業を対象としたM&A仲介会社での業務経験があっても、残念ながら経験者扱いにはならないケースが多いです。
M&Aアドバイザリーの採用選考・おすすめの面接対策
M&Aアドバイザリーの採用選考は、書面審査と数回の通常面接が行われるのが一般的です。
面接での質問は、志望動機や転職を決めた理由、現職(または前職)で苦労したこと、苦難をどう乗り越えたかなど、一般的なことがほとんどですが、専門的な財務知識・スキルについては別途詳しく聞かれますので、きちんと答えられるよう準備しておくことが必要です。
評価の対象となる要素には、主に下記のようなものがあります。
M&Aアドバイザリーに向いている人
M&Aアドバイザリーには、高いレベルのM&A関連知識やファイナンス知識が必要です。また、それを活かせるだけの体力や瞬発力、分析力、資料作成スキル、コミュニケーション能力を備えていることが求められます。
M&Aアドバイザリーはハードワークですが、その分収入は高い傾向があり、成果が報酬に反映されやすい仕事なので、体力に自信があり、高い収入を望む人が集まっているようです。
特に、外資系投資銀行ではその傾向があり、実際にゴールドマン・サックスのM&Aアドバイザリー職なら、新卒入社でベース給800万~850万円+同額のボーナス という例も珍しくありません。経験5~6年目なら、年収2000万円や2500万円という人もいます。
外資系投資銀行のM&Aアドバイザリーは、さまざまな業界・仕事の中でも、最高水準の報酬となっていますので、上昇志向があり、チャレンジ精神にあふれている人にはぴったりの仕事だといえるでしょう。
転職に成功した人の実例
M&A業務は未経験だが、大手総合商社で社外調整などを含めた渉外業務などの経験がある人は、転職に成功した実例があります。
ほかにも、面接の前にM&A関連知識を身につける目的で5~6冊の書籍を読むなど、みずから勉強をし、 米国公認会計士(USCPA)の勉強もしていた人は、知識が評価されて内定した例があります。
未経験からM&Aアドバイザリーに転職は可能?
外資系投資銀行や一部の独立系ファームを除けば、未経験でもM&Aアドバイザリーへの転職は可能です。金融機関や大手企業で下記のような業務経験があれば、応募できる企業がほとんどです。
<応募に有利な業務経験>
・金融機関(メガバンク、信託銀行、大手証券会社、外資系投資銀行)での法人営業、法人ソリューション/プロダクト部門
・FAS、投資ファンドでの実務
・監査法人、会計事務所、税理士法人での実務
・戦略もしくは経営コンサルティングファームでの戦略コンサルタント
・事業会社の経営企画、事業企画、財務・経理部門
・事業承継
ただし、ファイナンス知識が不足している場合は、自分で勉強する必要があります。公認会計士や米国公認会計士、税理士、弁護士などの資格保有者は歓迎されます。
転職エージェントに相談するメリット
転職エージェントを利用する大きなメリットのひとつは、参考となる過去の転職事例や実際の面接で聞かれた質問など、多くの情報を手に入れられることです。各社の採用ニーズの背景や過去の質問例などを知ることで、より効果的な面接対策ができますし、会社の特徴や組織体制、キャリア形成、待遇面などをしっかり知った上で企業を選べますので、ミスマッチを防ぐことができます。
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M&Aアドバイザリーへの転職希望者にキャリアコンサルタントからアドバイス
加藤 浩 / Hiroshi Kato
M&Aアドバイザリーは、高いレベルのファイナンス知識に体力も必要なタフな仕事なので、軽い気持ちで挑戦できるものではありません。この仕事を目指すのであれば、体力的な面を含めて相応の覚悟は必要でしょう。
一方で、努力した分だけ自分の成長、報酬、昇進に返ってくる仕事でもあり、外資系投資銀行の報酬額は、さまざまな業界・仕事の中でも最高水準となっています。
自分の力を試したい人、チャレンジしたい人にとってM&Aアドバイザリーはやりがいのある職種なので、ぜひチャレンジしてみてください。
監修:アンテロープキャリアコンサルティング この記事は、アンテロープキャリアコンサルティング株式会社が監修しています。 コンサル業界・金融業界への転職に役立つ情報を発信しています。 |
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