外資系金融機関に転職するには? 転職成功のポイントを解説
外資系金融機関はグローバルに活躍することが可能で、高収入が期待される人気のある業界です。日系金融機関から外資系金融機関に転職を考えている人もいることでしょう。
今回は、外資系金融機関の基本的な知識をはじめ、転職市場の動向、年収水準のほか、求められる英語力や経験などについて詳しく解説します。
外資系金融機関とは?
一言で外資系金融機関といっても、商業銀行や投資銀行、PE(プライベートエクイティ)ファンド、アセットマネジメントなどがあり、業種によって仕事内容は異なります。
まずは、外資系金融機関の業種と、メジャーな機関・会社をいくつかご紹介しましょう。
業種 |
主な企業 |
商業銀行 |
JPモルガン・チェース銀行、シティバンク エヌ・エイ、ステート・ストリート信託銀行、BNPパリバ銀行、香港上海銀行、ドイツ銀行、UBS銀行など |
投資銀行 |
ゴールドマン・サックス証券、モルガン・スタンレー、JPモルガン証券、BofA証券、シティグループ証券、バークレイズ証券、BNPパリバ証券など |
PEファンド |
カーライル、KKR、ブラックストーン、ベインキャピタル、アポロ・グローバル・マネジメント、ペルミラ、CLSAなど |
アセットマネジメント |
フィデリティ投信、アライアンス・バーンスタイン、ピクテ・ジャパン、キャピタル・インターナショナル、ティー・ロウ・プライスなど |
不動産金融 |
アンジェロ・ゴードン、PAGインベストメント・マネジメント、GICリアルエステート・インターナショナル・ジャパン、シービーアールイー、ラサール不動産投資顧問など |
保険会社 |
アフラック生命保険、メットライフ生命、アリアンツ、アクサ生命保険など |
金融機関におけるオフィス業務は、主に3つに分けられます。顧客と市場を相手にする営業や投資部門「フロントオフィス」、営業やファンドマネージャーが売買した商品の記録や決済などを行う事務部門「バックオフィス」、そして両者の間に位置しているのが「ミドルオフィス」です。
特に投資銀行、PEファンド、不動産金融、アセットマネジメントのフロントオフィスへの転職を目指す人は多く、競争は激しくなります。中でも、少数精鋭で採用人数が少ないPEファンドへの転職は狭き門です。
外資系金融機関の特徴
外資系金融機関の仕事内容や社風は企業によってそれぞれですが、共通する特徴もあります。ここでは、外資系金融機関の主な特徴をご紹介します。
- 実力重視の成果主義
- 外資系金融機関の場合は、中途採用が一般的で、年功序列より実力重視の成果主義で昇進や年俸が決まる企業が多いようです。中途採用でも実力さえ示すことができれば、スピード昇進も可能です。
ただし、外資系金融機関の中でも、特に日本に根付いた歴史が長い場合は、日系金融機関と同じように年功序列を重んじる風土を持つ企業もあります。
- 高い専門性が身に付く
- 日系金融機関では、入社後数年間はジョブローテーションによってさまざまな業務を経験しますが、多くの外資系金融機関にはこのような制度はありません。外資系金融機関では、配属先の業務を掘り下げていくのが一般的なため、日系金融機関と比べると専門性を高めやすいといえるでしょう。
また、外資系金融機関は日系金融機関に比べて少数精鋭であることが多く、任される業務の領域が広くなる傾向にあります。
- リストラのリスクがある
- 外資系金融機関への転職を考えている場合、リストラのリスクを無視することはできません。近年、急なリストラは減少傾向にありますが、部門自体がなくなる場合などでも、日系金融機関のようにほかの部門へ異動になるとは限りません。外資系金融機関は、日系金融機関に比べて給与は高い分、リストラのリスクも高いといえるでしょう。
外資系金融機関の採用動向
外資系金融機関の中でも商業銀行や投資銀行は、2022~23年において全体的に業績不調です。中途採用を控えている企業が多く、人材の流動性は低迷状態といえます。
一方で、PEファンドや不動産金融などは、海外から日本への投資案件が多いことを受けて中途採用も活発に行われており、若手からスキルを持った40代まで、幅広く採用募集がある状況です。また、アセットマネジメントは、政府の掲げる資産運用立国の方針もあり、採用拡大が期待されます。
ただ、外資系金融機関の採用動向は景気の影響を受けやすく、今後の世界情勢によって大きく変わることも少なくありません。外資系金融機関への転職を考えている人は、常に世界情勢や転職市場へのアンテナを広く張っておくことをおすすめします。
外資系金融機関の年収
一般的に外資系金融機関は、日系金融機関と比べて給与が高いといわれています。過去に弊社に登録した転職希望者のデータを比較したところ「日系金融機関に対して外資系金融機関の年収は約20%高い」という結果になりました。2023年現在でも、この傾向は変わっていません。
外資系金融機関は、個人が生み出した利益がその人の収入に直結することが多く、外資系投資銀行・PEファンド・アセットマネジメントのフロントオフィスであれば、20代で年収1000万円を超えることも珍しくありません。
一方の日系金融機関の場合は、20代で年収600万~800万円代程度となりますが、年功序列システムが色濃く残る企業も多いため、在籍期間が長くなるほど安定的な昇進・昇給が見込めます。
また、外資系金融機関の場合、20代の優秀な人材を企業にとどめるために、報酬額を高くする傾向があるのも特徴といえるでしょう。
外資系金融機関で求められる英語力
外資系金融機関への転職時に求められる英語力は、業務内容やポジションによって異なります。
海外と協調して業務を行う部署の場合は、英語での読み書き能力が重視されますし、海外との会議がある部署なら英会話スキルが求められます。海外の顧客等に向けてプレゼンテーションを行うポジションになると、ネイティブレベルでのプレゼン能力が必要不可欠です。
一方、ミドル・バックオフィスで国内対応がメインの業務内容であれば、そこまで高い英語力は求められないでしょう。
外資系金融機関への転職で有利になる経験・スキル
外資系金融機関への転職では、どのような経験やスキルが求められるのでしょうか。ここでは、フロントオフィスとミドル・バックオフィスに分けてご説明します。
- フロントオフィスで求められる経験・スキル
- 転職時には即戦力としての採用が多いため、日系金融機関・外資系金融機関での同業務や近い業務の経験が求められるのが一般的です。
例えば、希望するのが投資業務であれば、調査分析に携わった何らかの経験は評価につながります。投資銀行やPEファンドの場合、グローバル・ランキングトップ30校のMBA(経営学修士)やCPA(公認会計士)資格を求める企業も少なくありません。
営業職希望であれば、事業会社や金融法人に対する営業経験があると、なおいいでしょう。アセットマネジメント希望であれば、調査分析業務の経験やCFA(米国証券アナリスト)、CMA(証券アナリスト)の資格があると好印象です。PEファンド希望の場合は、投資銀行での経験やファイナンシャル・アドバイザーとしてコーポレート・ファイナンスを見たりバリュエーションを行ったりした経験、日系PEファンドで大企業の買収に携わった経験などがあれば評価されます。不動産金融の場合、宅地建物取引士も専門性の証明につながります。
- ミドル・バックオフィスで求められる経験・スキル
- ミドル・バックオフィスでは、英語力、数字を正確に扱う能力、PCスキル等が重視され、専門的な知識や経験については、フロントオフィスほどは問われません。
金融業界での業務経験があり、ベースとなる金融の知識を習得していれば、未経験から挑戦できる企業もあります。コンサル業界や監査法人などで金融を担当した人も、比較的採用されやすいといえるでしょう。
外資系金融機関で求められる人物像
外資系金融機関への転職においては、スキルや経験のほか、独特の文化に適応できるかどうかも大事な要素です。一般的に下記のような人は、外資系金融機関に向いているといえるでしょう。
- 自分で考えて行動できる人
- 基本的に外資系金融機関は、日系金融機関に比べて業務や進捗、成果などを上司や周りにしっかりとアピールすることが求められます。多くの外資系金融機関では、遠慮して意見を言わなかったり謙遜したりしていると、評価されません。
また、相手が困っている状況を察して手伝うといった日系の企業によくある文化とは異なり、サポートが必要な場合は自分から上司に交渉することが求められます。そのため、上司の指示を待つのではなく、自分で考えて仕事を進め、必要であれば交渉もし、成果をしっかりアピールできる人が向いているといえます。さらに、「このレベルの仕事までやらせてほしい」といった向上心があると、なおいいでしょう。
- 周りを巻き込む力がある人
- 外資系金融機関では、少人数でチームを組んでプロジェクトを進めることが多いため、周りを巻き込む力がある人は歓迎されます。リーダーや調整役など、果たす役割はポジションによってそれぞれ異なりますが、俯瞰して組織を見て、プロジェクトの成功のために何が不足しているかを考えることは大切です。周りと協力して業務を進めることが得意な人は、外資系金融機関に向いているといえるでしょう。
未経験から外資系金融機関に転職できる?
外資系金融機関の中でも、ミドル・バックオフィスの門戸は比較的広く開かれており、未経験でも転職できるケースもあります。
英語力やPCスキル、金融業界での業務経験のほか、コンサル業界や監査法人などで金融を担当した経験があれば可能性は高まるでしょう。また、ミドル・バックオフィスポジションで入社した後に、キャリアを積んでフロントオフィスに移る可能性もゼロではありません。
一方、フロントオフィスの場合は、経験者採用が多くなります。日系・外資系金融機関やコンサルティングファーム、会計事務所などでの実務経験を積み、ポジションで求められるスキルを身に付けていることが一般的な転職の要件です。
外資系金融機関への転職成功率を上げるポイント
外資系金融機関への転職成功率を上げるには、どのような準備が必要なのでしょうか。転職成功のための主なポイントは下記のとおりです。
- 英語力の向上
- 外資系金融機関では、多くの場合、英語力が必須といえるでしょう。たとえ転職時に高度な英語力を求められなくても、将来的には高い英語力が必要になります。英語力を高める努力は続けておくことをおすすめします。また、英語に加えて中国語を習得していると、自分の強みとしてアピールできます。
- 職種に応じたスキルの習得
- 外資系金融機関への転職を目指す人は、金融の知識のほか、目指す職種に応じた専門知識やスキルの習得は必須です。
面接では、今後の経済動向をどう考えるかといった質問も出される場合が多いため、世界経済全体の動向や自分が興味を持っている分野について日頃からアンテナを張り、自分の意見を整理しておくことも大切になります。
- 転職エージェントの活用
- 少人数採用がメインの外資系金融機関では、求人情報を一般公開せず、転職エージェント経由でのみ採用するケースも少なくありません。そのため、まずは転職エージェントに登録することが応募の第一歩といえます。
また、転職エージェントを活用すれば、書類審査や面接の対策や志望先との調整・交渉のほか、今後のキャリアについてアドバイスを受けることも可能です。特に、日系の企業から外資系金融機関への転職の場合は、文化のギャップを感じることも少なくありません。自己分析から志望企業の企業研究まで、不安や疑問点があれば、転職エージェントのアドバイザーに相談することができます。
外資系金融機関への転職なら、アンテロープキャリアコンサルティングに登録しよう
外資系金融機関への転職は、人気があり狭き門でもあります。一般に公募していない外資系金融機関もあるため、転職するには転職エージェントを活用するのが近道といえるでしょう。
外資系金融機関への転職を検討しているなら、ぜひアンテロープキャリアコンサルティングに相談してください。数ある転職エージェントの中でも、弊社は転職時期の期限を設けず、転職希望者が望むようなキャリアを築けるよう伴走することをモットーとしています。
豊富な案件数とこれまでに蓄積されたデータにもとづく書類審査・面接時のアドバイスに加え、投資銀行やPEファンドなど、業種ごとに専門アドバイザーが在籍することも強みのひとつです。
さまざまな視点から、転職希望者が望みのキャリアアップをするために最適な手段は何かを考え、転職希望者をバックアップします。
監修:アンテロープキャリアコンサルティング この記事は、アンテロープキャリアコンサルティング株式会社が監修しています。 コンサル業界・金融業界への転職に役立つ情報を発信しています。 |
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