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第4回:投資先の社長を経験し大きな責任を実感

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早瀬 真紀子 パートナー
PROFILE

東京大学法学部を卒業後、さくら銀行(現三井住友銀行)に入行。支店にて融資業務などを経験した後、グループ内の投資銀行部門に異動してM&Aアドバイザリー業務に携わる。その後、ハーバード大学MBAへの留学を経て、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。経営コンサルティングの経験を積んだ後、2007年に創業直後のインテグラルに参画。2020年より同社パートナーに就任。

目次
  1. -コンサルからファンドに移って投資業務の魅力に気付く
  2. -日本にカスタマイズしたスタイルが海外からも評価
  3. -様々な投資先で変革を主導。社長を務めることも
様々な投資先で変革を主導。社長を務めることも
早瀬さん自身が関わった案件で印象的なものについて教えてください。
早瀬
最初に自分の案件として担当したのは、ラグジュアリー・ファッションブランド「ヨウジヤマモト」の再生支援でした。ところが、その投資検討を行っている最中に妊娠が判明、出産予定日も投資実行の直後になりそうでした。それを会社に伝えたところ、私がチームから外れるという選択肢もある中で、私が初めての案件でやる気になっていることを汲んでいただき、むしろメンバーの補充をしていただくことになりました。私は投資検討をやり切った後に心安らかに産休に入ることができ、投資直後の常駐支援は他のメンバーに任せることができました。
1年弱の産休・育休から復帰した後、今度は私がヨウジヤマモトに常駐することになりました。投資してから少し時間が経過し、既に成長局面に入っていたヨウジヤマモトで、私は社長室長というポジションに就き、まず営業面の改革を目指して研修制度を整備しました。当時の社長にもご協力いただき、ご自身のノウハウを伝授いただくと同時に、数字の見方や現場販売員の育成方法など店舗運営の改善を目指した座学研修を2週に1回行いました。はじめは営業の皆さんにあまり興味を持っていただけなかったのですが、後になって「現場で苦労した時に、そういうことだったのかと改めて気付きを得た」と言っていただけて、あきらめずにやり続けて良かったと思ったことを覚えています。そのほかにも、「クリエイティブ」と「ビジネス」のバランスをうまくとれるような人事制度を検討したり、ヨウジヤマモトブランドの将来を担う社員にもっと「美しいもの」を感じてほしい、海外の顧客が普段触れているものを体験してほしい、という経営陣の想いを具体化すべく、全社員に4人一組で海外研修に行っていただくプログラムを構築するなど、約3年の常駐期間中に様々な施策を実行しました。
私はこの常駐を経験したことで、その後の新規案件の投資検討におけるビジネスデューデリジェンスやマネジメントインタビューの解像度が明らかに上がりました。常駐は大変なものと思っている方も多いかと思いますが、投資先の皆さんは敵ではなく同じ未来を目指す仲間であり、外の人間としてではなくその会社の一員として接していただくことがほとんどなので、あまり構えずに体験して吸収してほしいと思います。
早瀬さんご自身が投資先の社長を務められた案件もあると伺っています。
早瀬
日東エフシーという肥料メーカーの事業承継案件ですね。創業家2代目の方が26年間社長を務めてこられて、2019年からインテグラルがご一緒することになったのですが、この案件は、私自身が中継ぎの社長として常駐派遣されるという、それまで携わってきた案件とはまったく違う形でした。
社内で一番肥料に詳しいのは他ならぬ創業家の社長である、という創立70周年を迎える歴史のある会社に、門外漢の私が社長に就任したわけです。これまで日東エフシーが長らく培ってきたDNAは、インテグラルが入ったからといって変えたくはありませんでしたので、私としては、そのDNAを維持したまま、チーム経営に移行することが社長としての最大のミッションと考えました。そこで最初の年は、課題解決のために部門横断のワーキンググループを複数作り、それぞれのグループリーダーを、次世代の経営陣になるであろう40代の社員の方々に担っていただき、在庫削減や労働環境改善といったテーマについて話し合いました。ワーキンググループ活動を踏まえ、2年目は中期経営計画(中計)を策定しようということで、私と一緒に常駐していたインテグラルのシニアアソシエイトが事業推進部長として次世代リーダーをサポートしながら、1年かけて中計を作りました。こうした施策を通じて、日東エフシーの社員が、会社の未来を自ら考えるように動機づけていくことを意識した3年間を過ごしました。現在は外部から招聘したマネジメント人材に社長を交代し、私は東京に戻っています。
伝統ある会社ゆえに、変革に対して心理的な抵抗などもあったのではないかと推察しますが、実際はいかがでしたか?
早瀬
日東エフシーの場合は、抵抗というよりは、様子見している方と面白そうと興味を持ってリアクションしてくれる方に分かれるという印象でした。300名以上いる社員全員にいきなり変わってもらうのは難しいので、様子見している方がいらしてもそれはそれで構わないと思っていましたが、幸運にも興味を持ってリアクションしてくれた方もいらっしゃいました。その方々と一緒に走っているうちに、その雰囲気が社内に伝播し、徐々に会議が活発化するなどの変化が起きるようになりました。次世代リーダーと目される方々より年上の、50代60代の社員の皆さんも、若手がリーダーとして頑張ろうとしているなら応援しよう、という空気に徐々になっていったと思います。
その中で早瀬さんご自身が工夫されていたことはありますか。
早瀬
とにかく分からないことは何でも聞くようにしました。それまであまり人事異動がない会社でしたので、自分の部署以外のことはあまりよく分からない、という方がたくさんいました。ですので、肥料の知識では一番下っ端という状況を利用して、私が質問しまくると、その横で聞いている社員が「そうだったのか」と改めて理解する、という部分もあったように思います。同時に、これまで疑問を持たずにやっていたことに「なぜ?」と問われることが、社員の皆さんが自分の仕事を見つめ直すきっかけにもなっていたかなと思います。
日東エフシーで社長を経験したことで、早瀬さんはどんなことをお感じになりましたか。
インテグラル早瀬氏インタビューカット3
早瀬
社長という立場は、私にとって非常に重く大きな責任でした。その責務を果たすには、誰よりも会社の現状と将来について考え抜くことしかないと決心し、周囲の助けをもらいながら日々向き合ってきたつもりです。また、会社が人の集合体である、ということも常に感じました。社員一人ひとりの成長が会社の成長に直結することを、日東エフシーで目の当たりにしたことからです。
インテグラルは今後どのようなファンドになっていくお考えなのでしょうか。
早瀬
ファンドとして出来ることの幅を広げたいと思っています。サイズとしても難易度としても、1号ファンドでは出来なかったような案件が、今では対応出来るようになりました。投資後のバリューアップについても、例えば投資先のデジタル・トランスフォーメーションを進めるために社内にDX推進チームを立ち上げたり、またコロナ禍のような誰も予想できない危機にも対応できるような体制を整えたりしています。
また、そうした流れの一環として海外への展開も増えてきています。投資先の規模が大きくなるにつれて、その会社が海外にビジネスを持っているというケースが多くなり、インテグラルのメンバーが欧米や東南アジアにある拠点に長期出張するような場面が出てきています。これまでのインテグラルにはグローバルファンドのイメージはなかったと思いますが、ファンドレイズで海外にロードショーに行くことも含めて、海外との接点はかなり増えてきていますので、今後はその点も楽しみにしていければと思っています。
先ほどの「ヨウジヤマモト」のお話で感じましたが、社員のライフステージの変化に対して非常にサポーティブなファンドであるというのも今後に繋がる特徴になりそうですね。
早瀬
女性だけではなく、男性陣にも育児中のメンバーが多くて、スケジュールに保育園への送り迎えがリピート登録されているメンバーがたくさんいます(笑)。実はパートナーの中にも子育て中の人が複数いますので、プライベートの相談は非常にしやすい環境だと思います。インテグラルとしては、ファンドの仕事は面白いので、ぜひともこの仕事を続けてほしいという思いが第一にあって、そのためにもプライベートを大切にしてほしいと考えています。困った時はいつでも誰にでも相談できますし、コアタイムなしの完全フレックス制ですので、誰もが自分に合った柔軟な働き方を見つけられると思います。
最後に、採用に関連して改めてインテグラル求めている人物像について教えてください。
早瀬
PEファンドというと冷静で合理的な人の集まりで、自分はその中で孤立してしまうのではないかと不安に思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、インテグラルはそうではなく、全員が全員を思いやり、協力を惜しみません。ですので何よりも、チームや仲間を大事にしようという想いがある方に参画していただきたいと思っています。根底にインテグラルという仲間がいて、その先に投資先の仲間がいて、さらに日本社会があって…という輪が広がっていくイメージを持てる人がフィットすると思います。また、投資先にはたいていの場合一人で、しかも長期間にわたって常駐することになりますので、「完全アウェイの転校生」としてコミュニティに入っても自分で仲間を作れる、ネットワークを自ら構築できるような、人から信頼を抱かれる人間性をお持ちの方にぜひジョインしていただきたいと思います。
本日はありがとうございました。

※インタビュー内容、所属、タイトル等はすべて取材当時のものであり、現在と異なっている場合がございます。

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企業プロフィール

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投資先経営陣とハートのある信頼関係を構築することを最重視し、長期的視野に立った投資を行うことで日本企業の改革と発展を促進する独立系PEファンド。投資後は『経営と同じ目線・時間軸』をもって投資先企業とともに歩み、企業価値向上に向けて経営・財務の両面でのサポートを行う。これまでにスカイマーク、アデランス、イトキン、QBハウスなどへの投資実績がある。

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