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第2回:「信頼できる資本家」として日本型経営改革を積み上げていく

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パートナー 後藤 英恒
PROFILE

1994年に一橋大学法学部を卒業後、P&Gファーイーストインクに入社しマーケティング本部ブランドマネージャーとして勤務。2001年にBCGに入社し消費財を中心としたインダストリーにて営業改革等のコンサルティングを手掛ける。2003年に民事再生となった東ハトに入社し、執行役員経営企画室長として再生計画の立案に携わり、その後、取締役副社長として再生計画の実行を統括して同社の再生に貢献。2007年にメガネ専門店チェーンの三城(メガネのパリミキ)にて執行役員戦略企画室長として経営計画策定に従事した後、2008年にインテグラルに参画。

目次
  1. -経営改革にはビジネスとファイナンスの両輪が必要
  2. -中国自社工場を手放そうとするも、一筋縄ではいかず
  3. -会社を変えるのに、株主でなければ出来ないことがある
  4. -まだまだベンチャー、理念に沿ってバージョンアップしていく
中国自社工場を手放そうとするも、一筋縄ではいかず
続いて、後藤さんご自身のこれまでの取り組み、実績についてご紹介いただいてもよろしいでしょうか。
後藤
投資案件としては、これまで4件に直接メンバーとして携わっています。うち3件で代表取締役社長を経験しています。
最初はインテグラルの投資1号案件だった印刷機械メーカーのBPSです。民事再生に陥った会社の一事業部を切り出して会社化したのですが、そこの社長がいないということで私が就任し再建を進めました。2つ目はTYOという広告制作会社です。本業ではクライアントからも評価されている一流の制作会社でしたが、ある時期にゲーム会社やアニメ制作会社などを買収していて、その経営がうまくいかず資本が毀損していました。そこでインテグラルが第三者割当増資を行い、社外取締役として経営改革のモニタリングを中心に行いました。3つ目は、シカタという京都にある女性向けファッションバッグのOEMメーカーです。オーナーが引退されることによる事業承継の案件でした。代表取締役社長として私が派遣され、中国にあった自社工場から協力工場に生産拠点をシフトし、その後自社工場から撤退するなど事業構造を変革させ、継続的な成長を見込める会社へとリードしました。4つ目は、現在社長を務めている電子部品メーカーの大泉製作所です。東証マザーズ市場に上場している会社で、2016年の年末にTOBをかけてマイノリティ投資を実行しました。デンソーやダイキンといった大手企業を得意先に持ち、今後海外拡販を中心に成長余地の高い企業です。この4件になります。
その中でも特に印象深い案件について、もう少し詳細をお聞かせいただけますか。
インテグラル後藤英恒氏インタビューカット2
後藤
どの案件も一つ一つ印象深いですが、あえてひとつ挙げるとすると、シカタです。しまむら、ワールド、イトーヨーカ堂といった錚々たる大手企業と取引をしている、女性向けファッションバッグのOEMメーカーとしてトップクラスの実力を持っている会社です。オーナー経営からチーム経営への事業承継を支援する、というのがテーマでした。投資実行時の会社の強みのひとつとして、上海近郊にあった1000人規模の自社工場による生産によってコスト競争力があり、品質に優れた製品をタイムリーに作れる、というのがありました。ところが、中国での労務費が急激に上がりだしてから価格面での競争力が落ちてきていました。シカタはその工場で80%以上の製品を作っていたために、仕入製品のコスト上昇の結果、会社全体の収益にも悪影響を与えるようになってしまいました。

そこで経営変革として、新たな協力工場を開拓の上、複数の協力工場網による生産体制を整える一方、自社工場の生産性を向上させる施策を打っていきました。各種施策を実行の上、最終的には自社工場を中国の投資家に売却し、自社工場の経営からは撤退しました。自社工場の撤退により、複数の協力工場網の構築による品質向上とコスト競争力の確立と相まって、一気に経営が改善し安定した収益性を保てるようになりました。ここまで来るのに5年ほどかけていますし、途中いろいろ厳しい局面もあったので、一番印象深い案件です。
厳しい局面というのは?
後藤
申し上げたように、自社工場がなまじ優れた工場だったために、従業員の方に「このままでいくと厳しいことになる」と言っても、なかなかピンとこない状況でした。「こんなにいい工場なのに、なんでそんなこと言うんだ」と。協力工場での製品で不良品がひとつ見つかったところで「ほら、やっぱり他の工場はダメじゃないか」という反応があったほど、協力工場に生産を振るというのは当初受入に時間がかかりました。また、協力工場への生産移管は、自社工場の中国人工員にとっても、自分たちの仕事が減ってしまうので、モチベーションを維持するのが大変で、生産性の低下が著しいこととなりました。さらに、自らによる工場の撤退を検討してみると撤退コストが巨額であり現実的でなかったこと、またM&Aを検討しても買い手探しに相当難儀しました。最後は中国の投資家を探し出して売却することになったわけですが、そこに至るまでにも大掛かりな労働争議もあり、地元の政府の人間も巻き込んで相当タフな交渉を強いられる、といったこともありました。

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企業プロフィール

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投資先経営陣とハートのある信頼関係を構築することを最重視し、長期的視野に立った投資を行うことで日本企業の改革と発展を促進する独立系PEファンド。投資後は『経営と同じ目線・時間軸』をもって投資先企業とともに歩み、企業価値向上に向けて経営・財務の両面でのサポートを行う。これまでにスカイマーク、アデランス、イトキン、QBハウスなどへの投資実績がある。

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