ispace

第2回:100年先にも残っていくような新産業を作りたい

ispace
取締役/COO 中村 貴裕
PROFILE

東京大学大学院で惑星科学を修了後、新卒でアクセンチュアに入社。製造業や小売業のサプライチェーンマネジメント改革などに携わる。6年ほどの勤務の後、リクルートの新規事業開発室に転職し、自ら企画・立案した事業の立ち上げを経験する。また同時期に、兼業でispaceの前身企業でもマーケティング業務等を手掛ける。2015年2月にリクルートを退職し、HAKUTOプロジェクトを手掛ける株式会社ispaceに完全に転職、現在に至る。

目次
  1. -昼はリクルート、夜と週末は宇宙の仕事
  2. -新しい産業ゆえに法整備にも関わっていく
  3. -イシューに向き合いやり切るマインドが大切
新しい産業ゆえに法整備にも関わっていく
そして2015年にリクルートを卒業し、ispaceに本格的にジョインされたということですね。
中村
実はその時点まで、ispaceの正社員は袴田ひとりだけでした。事業を加速するのでそろそろ他の社員が欲しいという時期に、ちょうど私の方もリクルートでの新規事業立ち上げが一段落ついたというタイミングでもあったため、誘いを受けました。また、新規事業といいながら私がやっていたのは既にある産業、例えば住宅産業とか結婚産業の上に新しいサービスを作るという仕事だったのですが、ispaceではそもそも産業自体を新たに作っていくことになるわけで、その部分にも非常に興味がありました。そのころ子供が2歳になったくらいだったのですが、この子が大人になった時に必要とされているような新産業を作りたい、移り変わりの早いtoCサービスも良いけれど、それよりも時間をかけてじっくり築き上げてある程度スケールしたら100年先にも残っていくような産業を作りたい、という気持ちがあり、ispaceに入社することを決めました。
大学を卒業した時に、このようなキャリアのイメージはあったのでしょうか?
中村
まったくなかったです。学生時代、宇宙はサイエンスだと思っていましたので、アクセンチュアに就職した時点で宇宙との関わりはなくなるものと思っていました。それが6年ほど経った後に、宇宙がビジネスとして、仕事としてもう一度立ち上がってきた、という感じです。
リクルートいう大企業からスタートアップへの転職ということになりますが、ご家族の反応はいかがでしたか。
ispace中村貴裕氏インタビューカット2
中村
やはり、すんなり賛成という感じではありませんでした。子供も生まれたばかりでしたし。宇宙産業と言われても普通はピンとこないのに、その上スタートアップでマネタイズ方法もまだ確立していないという状態でしたので、相応のプレッシャーはありました。そこで、私自身のエクジットクライテリアというか、もしこうなったらまたサラリーマンに戻るから、という線引きをして、何とか納得してもらいました。
ありがとうございます、ベンチャーへの転職でお悩みの方へのヒントになると思います。それでは続いて、現在の御社の事業内容やメンバー構成についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
中村
現在ispaceは、大きく3つのビジネスをしています。ひとつは、地球から月に物を輸送するペイロードサービス。1キロ当たりいくらという値付けをする、宅配便事業に近いサービスですね。2つ目はパートナーシップと呼んでいますが、我々のミッションやテクノロジーとの協業を通じて他の事業会社様に事業シナジーやブランディング戦略を生んでいただくという枠組みです。例えば日本航空様とは千葉・成田にあるエンジン工場で月面着陸船の製造組み立てに関して技術協業させていただいていますし、三井住友海上保険様とは、月保険の商品検討を開始させていただき、日本特殊陶業様とは月面で長時間のミッションを行うための固体電池の研究開発を共同で行っています。また、今後月面着陸が達成された際にそこで収集されたデータや画像をマーケティングライツとしてご提供させていただき、マーケティングに生かしていただくということも想定しています。3つ目が政府関連プロジェクトです。現在ルクセンブルク政府やNASA、JAXA、ESAといった宇宙機関に我々のミッションを活用いただくといった事業を進めているところです。

メンバー構成で特徴的なのは、女性社員の比率が20%程度であること。我々のような宇宙関連のゴリゴリのテクノロジー企業にしては、意外に思われるほど多くの女性社員に活躍してもらっています。あとは外国人比率が50%で、年齢層も20代中盤~70代と非常に広い事です。
中村さんは社会人になった時に一度宇宙を離れて、今また宇宙ビジネスに戻ってこられたわけですが、仕事のどんな部分に面白みを感じてらっしゃいますか。
中村
我々が作っているのはこれまでにない産業なので、政策や法整備もこれからという段階です。例えば月面資源を売買するとなったら、どんな法に基づいて行われるべきなのか、そういった要素も考えなければいけません。自分たちのサービスを練り上げていくと同時に、国内外を問わず政府関係者や政治家ともコンタクトをとってロビー活動をしていくというのは、非常に新しくて面白いところですね。

あと、ispaceにいる「ものづくりエンジニア」たちとはこれまでの経歴で接点がなかったので、彼らのロジカルさに触れるのはとても興味深いです。もちろんコンサルタントもロジカルなのですがそのレベルが違うというか、ものづくりの場合は物理現象と表裏一体なので本当に純粋なロジックを積み上げていかないと月面探査が失敗してしまうことになるわけです。その意味で彼らの徹底的なロジカルさには、感心してしまうこともあります。

企業プロフィール

ispace

月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。2018年2月までにシリーズA国内過去最高額となる103.5億円の資金調達を実施した。同年9月、日本初民間開発の月着陸船による「月周回」と「月面着陸」の2つのミッションを行うプログラム「HAKUTO-R」を発表。米SpaceX社のFalcon 9ロケットで2020年と2021年に打ち上げ予定。現在日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動中。

当サイト内のispace 企業情報も、ぜひご覧ください。

この企業で現在募集中のポジション情報

関連記事

同業界のインタビュー特集を探す

求人検索

絞り込み検索

業務内容

年収

こだわり条件

キャリアレベル

雇用形態

  • 金融機関/金融プロフェッショナル
    選択中
  • コンサルティングファーム
    選択中
  • スタートアップ/ベンチャー企業
    選択中
  • 事業会社(マネジメント/M&A関連)
    選択中
フリーワードから求人を探す