PwCアドバイザリー　インタビュー特集第4回：とがった個性を持つメンバーが集まり苦境を救う強いチームに

PwCアドバイザリー

丸橋弘政　ディレクター

PROFILE

新卒でメガバンクに入社、証券会社の投資銀行部門への出向なども含み、金融機関での法人営業、投資銀行業務、審査・再生業務といった幅広い業務に20年以上にわたり従事。事業再生アドバイザリーをキャリアの軸としたいとの思いから、コンサル未経験ながらPwCアドバイザリー合同会社へ入社。事業再生チームに所属し、日系大手メーカーの海外撤退案件や、LBO対象企業の再生案件など難易度の高いプロジェクトをリードしている。

-20年以上の銀行勤務から未経験でコンサルへ
-高難易度の海外撤退案件に20名のチームで対応
-事業の一部ではなく企業全体の価値向上を支援している

高難易度の海外撤退案件に20名のチームで対応

入社後、最初に担当したプロジェクトはどのようなものでしたか？

丸橋

本格的にアサインされた最初の案件は、日系大手メーカーの海外からの撤退プロジェクトという、規模も大きく難易度も高いものでした。国内からの出張ベースで対応できるようなディールではなく、対象国独自のビジネス感覚に加え、法制度等のテクニカルな部分も含めて、より現地にコミットした人材が必要になりました。そのため、現地のPwCメンバーファームと私たちがタッグを組み、それに加えて法務や税務の専門家にも参加を呼び掛け、総勢20名ほどのスペシャリストでワンチームを結成してデリバリーにあたりました。特に、国境を越えて利害が対立する相手との妥協点を見いだすのには苦労しました。
数年を費やしたプロジェクトで、撤退時にあたっての費用対効果やレピュテーションも含めて複数の対応案を比較考慮した上で、最終的な対応方針を決定、ToDoに細かく落とし込みながら個々の論点を潰し込んでいきました。とても難しく精神的にもタフな案件でした。

銀行で培ったスキルや経験が生きた部分はありましたか。

丸橋

本件ディールに限らず、特に一定規模以上の再生案件では、事業計画を作り銀行から融資等の資金支援を受けて完了、というような単純な案件はほとんどなく、色々なステークホルダーとの複雑な交渉を伴うことが多くあるため、銀行時代に培った対人能力や社会人としての所作は大きなベースになっていると思います。また、企業規模が大きくなればなるほど、選択と集中の観点から撤退と投資する部分を見極めていく必要も出てくるので、M&Aやエクイティファイナンスなどに深く関わる投資銀行業務の経験によって土地勘が養われていた部分もあるかと思います。

再生アドバイザリーの仕事の魅力的な点について、どうお感じになっていますか。

丸橋

この業務で難しいと思う点のひとつは、メインバンクからのご紹介等が契機になることも多いため、その初期段階では必ずしもクライアントから歓迎されていないケースがあるところです。また、戦略コンサルタントの関わり方とは違い、会計をベースとしたアドバイザリーの立場なので、ディールを最短距離で走り切らないといけないというのもハードルの高さにつながります。クライアントとの関係性構築からスタートして、それでも日を追うごとに信頼いただけるようになっていき、最終的にはクライアントと同じ目線で、各ステークホルダーへの交渉内容や対策を一緒に考えるところまで進めていくという感覚が、私たち再生アドバイザリーを生業とするものの醍醐味のひとつだと思います。
また、銀行での債権者としての事業再生への向き合い方は、完成している計画の蓋然性検証など実態掌握力が問われましたが、ここでは反対に、生のデータを組み合わせていかに再生計画として昇華させるかを考えるのが仕事です。同じ再生という山の頂上を目指しているのですが、これまでと正反対のルートから登っていくような経験をさせていただいている感覚です。

事業の一部ではなく企業全体の価値向上を支援している