一般社団法人ソーシャル・インベストメント・パートナーズ
鈴木 栄 代表理事兼CEO
PROFILE
米・カリフォルニア工科大学化学博士号取得。新卒でマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、コンサルタントとして経営戦略策定や事業成長支援に携わる。その後、大手IT企業やスタートアップでの就業を経て、再度マッキンゼーに入社し、12年間従事。パートナーとなった後、2013年からKKRキャップストーンに転職し、マネージングディレクターとして、投資先企業の成長と変革を支援。2019年7月よりSIPの代表理事兼CEOに就任。
目次
- -社会課題の解決にビジネスの視点を取り入れる
- -金銭的リターンをともなうエグジットではなく「卒業」を目指す
- -社会貢献=低報酬、という風潮には異議あり
社会課題の解決にビジネスの視点を取り入れる
日本初のベンチャー・フィランソロピー組織であり、アンテロープがプロボノパートナーとして参画している「一般社団法人ソーシャル・インベストメント・パートナーズ(SIP)」のインタビュー特集をお届けします。第1弾となる今回は、代表理事兼CEOの鈴木様にご登場いただき、SIPの全体像や理念、具体的な支援活動の内容などについてお話を伺いました。
はじめにソーシャル・インベストメント・パートナーズ(SIP)の概要をご紹介いただけますでしょうか。
鈴木
SIPは2012年11月に設立された日本初の本格的なベンチャー・フィランソロピー組織であり、社会的事業を運営する組織を資金面、ビジネス面の双方で支援している社団法人です。設立のきっかけとなったのは、2011年の東日本大震災でした。その際、後にSIP創設メンバーになるVCやPEで実績を積んでいた投資家たちが独自に寄付やボランティア活動を行っていたのですが、その過程で人手不足で苦しむ組織体制や不透明な資金使途を目にすることになり、自分たちが親しんでいるビジネスの視点を取り入れることで社会課題の解決をより良い形で目指せるのではないかと気付いたのです。
メンバーが集まり話し合いを重ねる中で、欧米に「ベンチャー・フィランソロピー」という手法があることを知りました。1990年代に米国で始まったベンチャー・フィランソロピーは、成長性の高い非営利組織や社会的企業に対して資金提供や経営支援を行うことで、社会課題解決を加速させるモデルです。一般的にフィランソロピーは人類愛や慈善活動を意味しますが、このモデルにおいては資金提供をしても金銭的なリターンは求めず、その団体が与える社会インパクトの拡大をリターンとして捉えています。
メンバーが集まり話し合いを重ねる中で、欧米に「ベンチャー・フィランソロピー」という手法があることを知りました。1990年代に米国で始まったベンチャー・フィランソロピーは、成長性の高い非営利組織や社会的企業に対して資金提供や経営支援を行うことで、社会課題解決を加速させるモデルです。一般的にフィランソロピーは人類愛や慈善活動を意味しますが、このモデルにおいては資金提供をしても金銭的なリターンは求めず、その団体が与える社会インパクトの拡大をリターンとして捉えています。
続いて、鈴木代表ご自身のこれまでのご経歴をお聞かせください。
鈴木
私は学生時代の多くをアメリカで過ごしまして、最終的には大学院で物理化学を専攻しました。その学生生活の合間に、学校にリサイクルセンターを立ち上げたり、近所の公園で子供たちの見守りをしたり、家を失った家族の支援活動をするといった、ボランティア活動に参加していました。研究では頻繁に壁にぶつかり、狭い範囲に意識がいきがちでした。ボランティアをすると、社会の中の自分の立ち位置の認識が変わり、研究の壁の見方も変わり、今でいう私のWell-beingにポジティブな影響がありました。
日本へ帰国した後は、新卒でマッキンゼーに入社しました。その後、大手IT企業やスタートアップを経て再度マッキンゼーに戻りパートナーを長く勤めてから、PEファンドにフィールドを移して投資先企業の業績拡大をサポートしてきました。こうしたキャリア全般が、現在のSIPでの活動に役立っていると思います。
日本へ帰国した後は、新卒でマッキンゼーに入社しました。その後、大手IT企業やスタートアップを経て再度マッキンゼーに戻りパートナーを長く勤めてから、PEファンドにフィールドを移して投資先企業の業績拡大をサポートしてきました。こうしたキャリア全般が、現在のSIPでの活動に役立っていると思います。
日米のボランティア活動への意識の違いについては、どうお感じになっていますか。
鈴木
日本で働き始めて少し経ったころ、ある団体を訪れてボランティア参加を希望していると言ったところ、先方から「ボランティアには最低週3日、1日3~5時間は働いてもらいたい」と告げられ、門前払いとなったことがありました。私がアメリカで経験していた気軽なボランティアと、日本での職員同然に勤務するそれとの違いを、強く印象付けられた経験でした。ボランティア活動は本来、自分が広い社会の一員として生きていることを実感し、他者と触れ合いながら大きな視野を持つことが出来る素晴らしいものなのですが、それが気軽に出来ないということで残念でした。そのため、日本でのボランティアを増やし、寄付金を増やし、NPOの組織運営を強化したいと思い、今の活動につながっています。
この企業で現在募集中のポジション情報
企業プロフィール
一般社団法人ソーシャル・インベストメント・パートナーズ
2012年11月に日本初の本格的なベンチャー・フィランソロピー組織として設立。社会課題の解決を目指す「社会性」、革新的な解決策を生み出す「革新性」、持続可能な事業モデルとしての「事業性」を兼ね備えた社会的事業を厳選し、中長期的な資金提供と経営支援を行っている。社会的事業の成功によって社会的インパクトが最大化され、民間の資金や経営支援が循環する社会を実現することをミッションとして掲げている。
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