一般社団法人ソーシャル・イノベーション・パートナーズ

第3回:ビジネスとソーシャルの間をもっと多くの人が往来してほしい

一般社団法人ソーシャル・イノベーション・パートナーズ
(左から)横山 雄祐 投資・支援担当、今村 翔 投資・支援担当
PROFILE

(横山)慶應義塾大学経済学部卒。大学卒業後、国際協力機構(JICA)に入社。メキシコに留学し、駐在先のニカラグアでMBAを取得。主に中南米における貧困削減プロジェクトに従事。その後、ベイン・アンド・カンパニーに転職し、大企業の経営戦略策定やビジネスデューデリジェンスを多数手がける一方、ソーシャルインパクトチームの一員としてプロボノ活動の運営・実行にも携わる。2022年にプロボノで協働したSIPに参画。2024年に妻の米国留学に伴いSIP退職。
(今村)東京大学教養学部卒。大学卒業後、丸紅に入社。海外発電所の事業投資に従事し、入札・買収、資産管理、売却・撤退等を経験。その後、アクセンチュアに転職。新規事業戦略、組織改革、業務改革やDX、脱炭素等のプロジェクトに従事。2024年よりSIPに参画。

目次
  1. -社会貢献にはビジネススキルが必須と考えコンサルへ
  2. -より良い社会を繋いだと子供たちに胸を張れるように
  3. -自分にとって本当に大事なものを考えてキャリアを築く
自分にとって本当に大事なものを考えてキャリアを築く
横山さんは近々、さらなるキャリアシフトをされると伺いました。差支えない範囲で展望をお聞かせいただけますか?(※)
横山
SIPでの仕事は社会的な意義が大きく、知的に刺激的で、尊敬できる方々と働けるとても魅力的なものでした。しかし、妻が米国に留学することを決めたため、家族で渡米することを決断し、SIPを退職することになりました。協働先やSIPに一時的に迷惑をかけることは申し訳なく思いましたが、考えたうえでの決断でした。妻がSIPへの転職を含め、私のキャリアシフトを常に応援してきてくれたこともあり、私も同様に、彼女の挑戦と今後のキャリアを心から応援したいという思いが、何よりの理由です。
また、これは中南米での生活を通じて強く感じたことでもありますが、家族との時間を大切にしたいという思いがありました。ニカラグア駐在していたころ、私の中で大きな価値転換が起こりました。「日本人は出社時間には厳格だが退社時間にはルーズ(ラテン人は逆)」という冗談がありましたが、当初は同僚やカウンターパートが、仕事が終わっていないのにも関わらず定時になると帰る姿が理解できず、もっと言うと怠けていると思っていました。しかし、ある同僚に「逆に日本人が理解できない。仕事ばっかりして、家族との時間をないがしろにしている」と言われたことで、仕事と家族の優先順位が根本的に異なることに気づかされ、目から鱗の経験でした。私は当時独身で、平均月収2万円の国の中で、その何十倍もの収入を得て、スーパーマーケットでも値札を気にせず買い物をする、いくらでも外食できるという気ままな生活を送っていましたが、月給2万円で生活する現地の人々より自分が幸せだと言い切れず、なんとも言えない違和感を抱えていました。なので、妻が米国留学する際に一緒にいかないという選択肢は私にはありませんでした。
ちなみに、これは少し説明が難しいのですが、妻の留学に私が従属的に「帯同」するという表現は正確でない気がしています。もちろん表面的には「帯同」ですが、アメリカという新しい環境の中で生活することを私としてもワクワクしており、キャリアにもつながる多様な経験もでき、人間としての幅も広がるのではという期待感もあり、なので「妻と一緒に渡米を決断した」という表現のほうが、より正確に私の思いを反映していると思います。
(※)インタビュー当時。横山氏は2024年8月末をもってSIPを退職し渡米されています。
それでは最後に、読者の皆様にメッセージをお願いします。
SIP横山氏今村氏インタビューカット
横山
より多くのプロフェッショナルの方々が、社会やコミュニティに貢献するミッションに共感してソーシャルセクターに移籍してほしいと思っています。私自身、官→民→ソーシャルとキャリアをシフトしてきた中で、「プロフェッショナルなスキル・経験が価値創出に不可欠である一方、『思い』がなければ、何のために価値創出するのかが空虚になってしまう」ということを痛感してきました。プロフェッショナルとしてキャリアを構築されてきた方々が、その『思い』を持って、社会に直接的に貢献できる場により多く移ってきてほしいと個人的には願っています。
待遇面についての不安があるかもしれませんが、かつてのように極端な低賃金という状況は少なくなっていると思います。また、社会の大きなペインとなっている難易度の高い社会課題に取り組むことは、キャリアの観点からも価値のある経験になるはずです。長期的にみれば、社会の本質的な課題に直面し、それを解決するための経験は、ビジネスセクターに戻る際にも有益な資産となることを確信しています。
最後に、ソーシャルセクターといっても、貧困家庭の教育、いじめ・不登校、移民の問題、地域コミュニティの強化など、何を志向しているかは団体によって多様です。そして、仕事だけが人生のすべてではありませんし、仕事で成果を出すことだけが人生の価値ではないことは言うまでもありません。皆さんの価値観や大切にしたいものをよく考えて、キャリアを築いていってほしいと思います。

今村
私も、ビジネスとソーシャルの間でもっと多くの人が往来する社会になると良いと思っています。そして、ビジネスとソーシャルの経験は、お互いに役立つものだと思っています。
ソーシャルセクターでは、本当に多くの団体が、多くの社会課題に取り組んでいます。社会課題はこれまで解決されていないからこそ社会課題であり、その取り組みはチャレンジングです。先進的な知見、将来役に立つケイパビリティの獲得につながると思います。
SIPに関して言うと、理事はPE・コンサル・商社・人材・金融といったビジネスセクターに加え、ソーシャルセクターでも理事を務める等、ビジネス・ソーシャルでの豊富な知見を有している方がいます。また、協働先には日本の社会を大きく変えていく団体が多くいます。そうした理事や団体代表者の方々と、徹底的に議論し、実行していく経験は、相当貴重だと思います。ぜひ少しでもご関心があれば、お気兼ねなくご連絡ください。お話させていただきたいです。あるいは皆さんの関心あるソーシャルセクターの団体に一歩踏み出して、具体的に関わってみていただけると嬉しいなと思います。
本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

※インタビュー内容、所属、タイトル等はすべて取材当時のものであり、現在と異なっている場合がございます。

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企業プロフィール

一般社団法人ソーシャル・イノベーション・パートナーズ

2012年11月に日本初の本格的なベンチャー・フィランソロピー組織として設立。社会課題の解決を目指す「社会性」、革新的な解決策を生み出す「革新性」、持続可能な事業モデルとしての「事業性」を兼ね備えた社会的事業を厳選し、中長期的な資金提供と経営支援を行っている。社会的事業の成功によって社会的インパクトが最大化され、民間の資金や経営支援が循環する社会を実現することをミッションとして掲げている。

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