一橋大学商学部を卒業後、新卒で日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。融資や主計業務を経験した後、2003年グローバルマネジメントディレクションズ(現KPMG FAS)に入社し、事業再生アドバイザリー業務を担当。2004年に日本産業パートナーズ、2007年にはゴールドマン・サックス証券の戦略投資部に入社し、複数の投資案件を手掛けた後、2009年に丸の内キャピタルに参画。これまでジョイフル本田、成城石井、エムアイフードスタイル、サイプレス、グラニフ、三浦屋、ミスズライフ、AKOMEYA TOKYOへの投資を担当している。
- -リスクマネーの供給者かつ企業変革の触媒となり得るのがPEファンド
- -投資先の成長と自身の成長がシンクロしている感覚に
- -PEを業績改善のパートナーと捉える新しい可能性
成城石井の業績は順調に伸びていましたが、デューデリジェンスをしていた中で、このままのペースで出店していくと物流センターのうちチルドセンターのキャパシティーがオーバーしそうだということと、物流センターが3カ所に分散していてコストが嵩んでいるという2つの懸念点がありました。投資後に早速この課題の対応に着手したのですが、成城石井にとってドラスティックな物流再構築は経験がなかったこともあり、三菱商事の物流部隊にプロジェクトに参加してもらって、彼らの知見を生かして物流の再構築を実施しました。これによりチルドセンターのキャパシティーと物流拠点の分散という課題が一気に解消されたことが、その後の出店加速化につながりました。丸の内キャピタルの特徴が生かされた施策だったと思います。
戦略的PRによる既存店の改善も実現することが出来ました。新規出店もあり、業績は増収増益を維持していたのですが、既存店の客数が減少していたので、テコ入れをしなければいけないという強い問題意識があり、PRに強い人材を採用して施策を打っていきました。その結果、様々なメディアに成城石井の商品のこだわりを取り上げていただいたことで、お客様にご来店のきっかけを与え、店舗に足を運んでいただき、実際の商品にご満足いただいてリピーターになっていただく、という好循環が回り始めました。3年以上にわたって既存店売上高が伸び続け、目に見える成果を出せたというのは、自分自身の喜びにもなりました。
成城石井の案件は、当時、丸の内キャピタルの主担当である私が30代で、成城石井の経営チームが40代ということで、比較的若いもの同士が会社をより良くするために議論を交わして施策を進めていったのですが、会社の成長と自身の成長がシンクロしているような感覚を持つことが出来ました。投資期間中は、目の前の課題に取り組むことで精一杯でしたが、最終的に成果も出すことができ、伸び悩んでいた自分が一段高いステージに上がれたと思えた、印象深い案件でした。
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企業プロフィール
丸の内キャピタル
三菱商事と三菱UFJ銀行の出資によって2008年に設立された、ハンズオン型プライベートエクイティファンド。総合商社の事業ネットワークとフィナンシャルグループが有する顧客基盤、金融ソリューションを組み合わせ、他のファンドにはない投資先の企業価値向上プロセスを実施している。主に大企業のカーブアウトおよび事業承継案件にフォーカスしており、これまでに成城石井、エムアイフードスタイル、ジョイフル本田、タカラトミーなどへの投資実績がある。
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