イグニション・ポイント

第3回:企業の非連続成長に伴走する「一気通貫型M&A×AI」の挑戦

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川島 佑介 執行役員 パートナー、コンサルティング事業本部Strategy & Finance Unit責任者、Industry Focus Unit責任者
PROFILE

2005年に新卒でデロイト トーマツ コンサルティング(現デロイト トーマツ)へ入社。約15年間にわたり、自動車・モビリティ業界を中心に、事業戦略立案、海外戦略策定、クロスボーダーM&A、提携支援などに従事。その後、ベイカレント・コンサルティングにてパートナーを務め、自動車・モビリティに加えてヘルスケア領域なども担当。2022年にイグニション・ポイントへ参画し、Industry Focus Unitの立ち上げを主導。現在はStrategy & Finance Unit責任者も兼務し、M&A戦略からBDD、FA、PMI、バリューアップまでを一気通貫で支援する組織を牽引している。

目次
  1. -業界知見を起点に、非連続成長を支えるチームをつくる
  2. -「一気通貫」と「AI」が生む、M&Aアドバイザリーの新たな価値
  3. -アドバイザリーから投資主体まで広がるキャリアの醍醐味
「一気通貫」と「AI」が生む、M&Aアドバイザリーの新たな価値
競合他社との差別化についてはいかがでしょうか。
川島
競合は大きく二つに分かれると思います。一つはBig4系FAS、もう一つはM&Aに注力している中堅コンサルティングファームです。我々の差別化要素は大きく二つあります。
一つ目は、上流から下流まで一気通貫で支援するモデルです。我々のシニアマネージャー以上のメンバーは、自分が担当するクライアントについて、戦略からエグゼキューション、PMIまで責任者として業務を遂行します。一方他社では、DDチーム、FAチーム、PMIチームというように、業務工程ごとに組織が分かれていることが多いです。クライアント目線では、フェーズごとに担当者が変わることになりますし、働くメンバーにとっても、経験できる領域が限定されることになります。我々は、一人の責任者がクライアントの成長ストーリー全体を見ながら支援します。これはクライアントにとっても、コンサルタントにとっても大きな価値があると考えています。
二つ目はAIです。イグニション・ポイント全体として、AI活用やAIを使った業務改革に強みを持っています。Strategy & Finance Unitでも、M&Aやファイナンス領域におけるAI活用を先駆的に進めています。
M&Aやファイナンス領域でのAI活用について、具体的な取り組みを教えてください。
川島
我々のチームでは、あらゆるプロジェクトで生成AIを活用しています。汎用的なLLMを各工程でフル活用していることに加え、業務の塊ごとに自動化するAIエージェントの自社開発も進めています。
すでにリリースしているものに、プレDDエージェントがあります。M&Aの買い手が買収対象企業[鐘李4.1]のインフォメーションメモランダムを受け取った際、それをAIエージェントに投入すると、市場分析、競合分析、成長戦略の仮説、簡易的なバリュエーションなどが短時間で生成されます。
さらに、ビジネスDDエージェントも開発しています。BDDでは、数百から数千に及ぶファイルを読み込み、分析する必要があります。これを我々の環境に入れることで、チャットボットのように問いを投げれば、格納されたドキュメントを読み込んで回答を出すことができます。また、対象会社の経営陣に対する質問事項を自動生成する仕組みも作っています。
また、PMIエージェントも開発しています。過去の統合計画書やPMIプランを格納し、DDのアウトプットを投入すると、それをベースに統合計画書の初版が自動で生成されるような仕組みです。
ファイナンス領域は、情報の秘匿性が高く、テクノロジー活用が進みにくい領域でもあります。だからこそ、我々自身が先駆者としてAIを徹底的に活用し、それをプロダクト化してクライアントにも提供していきたいと考えています。
AI活用が進む中で、今後コンサルタントにはどのような価値が求められるのでしょうか。
川島
ポイントは二つあると思います。ひとつは、AIをマネジメントする力です。AIは、指示やルールに基づいて業務を遂行する存在です。したがって、AIに対して適切な指示を出し、出てきたアウトプットをレビューする能力が重要になります。実はこれは、従来のプロジェクトマネジメントにおいて、メンバーに適切な指示を出し、成果物をレビューして品質を担保するスキルと本質的には同様です。今後は、人だけでなくAIもマネジメントできるコンサルタントが求められるようになると思います。
もう一つは、データ化されていない情報を扱う力です。AIは、データ化された情報を処理することは得意です。一方で、人と人との会話の中で得られる情報や、相手の本音、組織の空気、利害関係者の温度感といったものは、簡単にはデータ化できません。
我々の仕事では、買い手や売り手とのコミュニケーション、対象会社の経営陣との対話、意思決定者の説得などが非常に重要です。オフラインで情報を収集し、人を動かし、意思決定を前に進めることは、これからも人間のコンサルタントが価値を発揮する領域だと思っています。
M&A主体の重要な位置にPEファンドがあると思いますが、PEとの関わりについても教えていただけますでしょうか。
川島
現在、我々の仕事の約半分はPEファンド向けとなっています。
事業会社の場合、M&Aが初めて、あるいは10年ぶりといったケースも頻繁にあります。そのため、最上流の成長戦略やM&A戦略の策定から丁寧に伴走し、実行まで一気通貫で支援することが多いです。一方でPEファンドは投資のプロですので、我々の支援はBDDやPMIといった特定フェーズが中心になります。ただ最近は、PEファンドの数も増え、案件の入札競争も激しくなっています。そのため、ディールが始まる前の段階から、投資仮説の検討や初期分析を支援するケースも増えています。
また、我々はPEファンドへの出向者も出しています。実際に投資実務に関与することで、投資主体がどのような業務をしているのか、どこに課題を感じているのかを理解できます。その経験を持ち帰ることで、外部アドバイザーとしてより深い支援ができるようになります。

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企業プロフィール

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新規事業創出、DX推進、AI活用、イノベーション創出、M&A、投資事業などを展開するコンサルティングファーム。戦略立案にとどまらず、実行支援、事業創出、投資までを一体的に手掛けることで、クライアント企業の変革と非連続な成長を支援している。特に近年はAIを活用したコンサルティングサービスの高度化にも注力し、企業価値向上に向けた支援を提供している。

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