ロングブラックパートナーズ

第1回:徹底した現地常駐とハンズオンで、地方経済の再生を支える

ロングブラックパートナーズ
牛越 直 パートナー
PROFILE

慶應義塾大学法学部在学中に公認会計士試験に合格、監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ)に入所。監査業務や経営管理コンサルティングの経験を積んだ後、2003年PwC FAS(現 PwCアドバイザリー)に移り地域の中堅中小企業の事業再生案件を数多く手掛ける。2008年にロングブラックパートナーズを設立、現職。現在は、ロングブラックパートナーズグループ全体を統括しつつ、運用ファンドの投資委員にも就任し、投資先へのハンズオン支援、企業価値向上にも積極的に関与している。

目次
  1. -地方の中小企業を取り巻く厳しい現実を目の当たりに
  2. -岡山の地域再生ファンドに参画するため移住を決意
  3. -地域経済を再成長させるCxO人材を輩出していきたい
岡山の地域再生ファンドに参画するため移住を決意
設立時にどういう会社にしていきたいと思っていたのか、そして12年経った今どうなっているのか、お話しいただけますでしょうか。
牛越
設立した時はアドバイザリーの世界しか見えていなかったのですが、現在ではファンド事業、M&A、さらにグループ内に監査法人・税理士法人も存在し、非常に幅のあるサービスラインになりました。はじめの3年目くらいまでは地域、中小企業、再生といったキーワードを軸に自分たちに出来るサービスだけでニッチトップを目指していたわけですが、徐々にアドバイザーのみのサービス展開では、顧客ニーズに十分に対応できないと感じるようになったんです。我々のクライアントはほぼ全てがオーナー企業でして、その経営の成否はオーナーの決断力に大きく依存します。そのため、案件を重ねていくと、社外からのアドバイザリー業務のみでは企業を変革できないケースも出てきてしまうのです。そんな時、大手地銀である中国銀行から「大手ファンドの傘下での地域再生ファンドではなく、中国銀行のメンバーが運営主体となり、地域に貢献する再生ファンドを作りたい」という話が飛び込んできました。ファンドとして関与すれば、今度は当事者として中小企業をハンズオンで改革出来るようになります。それでこのファンドに徹底的にコミットするため私自身が岡山に移住するという決断をし、ファンド事業が実現しました。現在岡山に住んで8年目になりますが、ここまでの弊社の現場常駐かつハンズオンという姿勢を評価していただき、中小企業基盤整備機構や地域経済活性化支援機構(REVIC)からもお声がかかるようになりました。

ロングブラックパートナーズ牛越直氏インタビューカット2 このように、弊社が事業拡大を狙って自らドメインを広げていったというよりは、目の前の中小企業経営に対する改善を泥臭く丁寧に積み上げていった結果、次第に外部からお声を掛けていただくようになりサービス領域が広がってきた、というのが振り返ってみた時の偽らざる感覚です。また、それは同時に日本の中小企業が今どういう状況に置かれているかということと表裏一体になっているとも思います。近年の中小企業が直面している問題には、廃業率の高さ、後継者の不在、赤字経営などがあると言われています。我々はそれぞれの問題に対応するテーマを事業再生、事業承継、業務改善と捉えており、機能としてアドバイザリー、M&A、ファンド、それらすべての基礎としての会計税務(監査法人・税理士法人)を有しています。ただし、これらは別々の問題としてあるのではなく、それぞれが複雑に絡み合っています。

例えば日本の中小企業は、後継者不在率と赤字比率が共に50%超です。これは偶然ではないと考えます。中小企業の7~8割は会社借入金に対して個人保証をしているわけですが、自社が赤字の状況だとオーナーは後継者候補に個人保証負担を背負わせたくない。それにより「後継者候補は存在するが後継者は決まっていない」という結果になっているわけです。こうした中小企業の悩みに対して、事業承継・事業再生のアドバイザリーサービスを提供し、案件によってはファンドとして資金を入れてハンズオンで業務改善を行い、永続的な経営に向けた取り組みに伴走していくのがロングブラックパートナーズです。弊社のすべてのサービス機能は中小企業に対して何が出来るかを、何年も研ぎ続けてきた帰結であると考えています。
ここまでのお話を聞いていると、純粋な競合はいないように思えますね。
牛越
アドバイザリー業務の延長でファンド事業を本格展開しているという意味では、弊社以外には見当たらないですね。逆に、ファンドがアドバイザリー機能を持つ動きも一部にありますが、ファンドの究極的な目的はお金を出している投資家にリターンを返すことなので、立ち位置が全然違います。我々はあくまでも中立的なアドバイザリーの立場として、バイアスのかかっていない改善計画を立てることが出来ますし、それ故に各地の地域金融機関さんからの相談が絶えないのだと認識しています。

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企業プロフィール

ロングブラックパートナーズ

一部の大企業だけでなく、特に地域の中堅中小企業へ最高水準のアドバイザリーサービスを提供したいとの思いから設立された、独立系財務アドバイザリーファーム。社名に含まれる「ブラック」は黒字を意味しており、同社のサポートによりクライアント企業に長期的な成長・繁栄(=ロングブラック)をもたらすことを目指している。現在はサービスラインが拡大しており、地域官民ファンドの運用やプリンシパル投資、グループ内の監査法人・税理士法人による会計税務サービスなども提供している。

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