ロングブラックパートナーズ

第3回:“伴走型支援”で多くの中小企業を健康体に

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吉沼 良介 マネージングディレクター
PROFILE

慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、在学中からインターンをしていた独立系M&A仲介会社に入社。約8年間にわたり事業承継やカーブアウト案件を手掛けた後、2010年にロングブラックパートナーズに入社。立ち上げから関与した「おかやま活性化ファンド」運営会社への出向なども経験し、LBPにおける中堅中小企業のアドバイザリー業務をけん引している。

目次
  1. -M&Aという一部分ではなく、より幅広く経営に関わるため事業再生の道へ
  2. -資金繰り管理から工場のプロセス改善まで、あらゆる経営改革にタッチ
  3. -中小企業にこそデジタルトランスフォーメーションが必要
中小企業にこそデジタルトランスフォーメーションが必要
これまでの仕事を通じて、吉沼さんが大事にしていることを教えてください。
吉沼
考え続けるということですね。再生業務というのは常に壁にぶつかっているような厳しいものなのですが、それでも諦めずに考え続けていると、ふとした瞬間に解決策が浮かんできたりします。また、最近弊社の若手スタッフによく言っているのは、一喜一憂しないということ。再生業務の最中には、良いことと悪いことがジェットコースターのように次々と現れてくるので、それに一喜一憂しているとメンタルが持ちません。一方、そうした中でもクライアントや金融機関の方から感謝されたり頼りにされるようなことがあると、やはりうれしくなります。それはこの仕事のやりがいと言っていいと思います。
会社としての今後の目標についてはいかがでしょうか。
吉沼
ファンドでの知見をアドバイザリー業務にフィードバックして「伴走型支援」という新しいサービスを立ち上げています。
再生業務では、金融機関からの依頼を受けて経営状況が厳しい会社に入り込み、徹底した調査(デューデリジェンス)を行い、改善計画を策定して金融機関からの支援の同意を取り付けるというところまでがひとつのパッケージになっています。これは言ってみれば、瀕死の病人をICUに入院させてとりあえず命の危機は脱しようという状態。ですが、そのICUを出ることが出来ても、なかなか健康体を取り戻すまではいかないという会社が多くあります。
また、ICUに入るような深刻な状況ではないけれど、年々売上が減少し、健康体とは言い難い会社も散見されます。この様な会社は我々がお手伝いすることはあまりないのですが、その中には早期に経営改善に取り組むことで、健康体を取り戻し、再び成長軌道を描くことができる会社も少なからずあると考えております。
ファンドが経営に関与する場合でも、魔法の杖はないので、計画を立て実行し、期待通りの成果が出なければなぜ成果が出ないのかを会社の役員や社員と一緒にとことんまで考え抜く、PDCAサイクルを回し続けることを徹底します。これは地味で時間がかかる作業ですが、経営改善の基本だと考えています。どの会社でもPDCAには取り組まれていると思いますが、社内だけの場合、やはり甘えやしがらみがあったり、会社の常識が一般的には非常識であることも多く、外部や第三者が関与する効果は大きいと思います。
このように、少し時間はかかるけれど粘り強く変革に取り組み健康体になってもらうようなサービス、これを我々は「伴走型支援」と呼んでいますが、それをファンド投資先だけでなくアドバイザリー業務のクライアントにも提供するべく取り組んでいます。
ただ、PDCAのCheckの作業は「見える化」とも言われますが、想像以上に時間と労力を要します。例えば、食品工場における製品別の製造時間やおしぼり会社でのおしぼりの回収率などのKPIはAction(改善策)を検討する上で非常に重要ですが、分析が可能なデータを蓄積するにはかなりの手間を要します。また、賃金の低い中小企業は生産年齢人口の減少に伴う人手不足に大企業以上に悩まされています。
大企業を中心にDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が叫ばれていますが、PDCAを徹底し健康体を取り戻すために、中小企業にこそDXが必要であると感じています。幸いなことに、技術革新によりITツールやAIツールの導入コストが劇的に下がり、中小企業も積極的に導入できる環境が整いつつあります。我々としてもITツールやAIツールも活用し、より効果的な伴走型支援を提供することで、多くの中小企業が健康体を取り戻すお手伝いをさせて頂きたいと考えております。
ITやAIの実務は外部に依頼するのではなく、LBP自身で行うのでしょうか。
ロングブラックパートナーズ吉沼氏インタビューカット3
吉沼
ITやAIの導入や開発については、エキスパートを社内に迎え入れることも検討しておりますが、外部の企業とも連携していきたいと考えております。また、我々は基本的には財務アドバイザリーファームですので、数字から何が売れていてどんな傾向があるかというようなことは分析できますが、新商品を開発したいとなると我々では対応が難しいので、ITやAIの分野に限らず、例えばマーケティング会社など様々な分野の企業との提携も積極的に取り組んで行きたいと考えています。
では最後に、入社を希望される方にメッセージをお願いします。
吉沼
今後も弊社では再生業務では、クライアントへの常駐スタイルは続けていくと思いますが、これはクライアントへの貢献というだけでなく、自分自身の成長という意味でも効率的だと思っています。厳しい局面もありますが、スピード感をもって成長したいという方にとっては、いい環境なのではないでしょうか。
また、先に申し上げたようにいろいろ新しい取り組みが始まっていますので、これまでのような金融出身者や会計士の方だけでなく、ITやマーケティングといった部分で強みがある方であれば、必ずしも財務や再生の知識がなくても活躍の場はあると思います。いわゆる財務コンサルのイメージに基づくバックグラウンドがなくても、地方の中小企業を元気にしたいという志がある方には、ぜひ門を叩いていただきたいと思います。私もそうでしたが、たくさん失敗もするし怒られることもあるでしょう。でも、それで突き放されるということはなく、最後には先輩スタッフやプロジェクトマネジャーが必ずフォローするという社風というか文化がLBPにはありますので、未経験の方もどんどんチャレンジしてほしいと思います。
本日はお忙しい中、ありがとうございました。

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企業プロフィール

ロングブラックパートナーズ

一部の大企業だけでなく、特に地域の中堅中小企業へ最高水準のアドバイザリーサービスを提供したいとの思いから設立された、独立系財務アドバイザリーファーム。社名に含まれる「ブラック」は黒字を意味しており、同社のサポートによりクライアント企業に長期的な成長・繁栄(=ロングブラック)をもたらすことを目指している。現在はサービスラインが拡大しており、地域官民ファンドの運用やプリンシパル投資、グループ内の監査法人・税理士法人による会計税務サービスなども提供している。

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