ゆうちょアセットマネジメント

第1回:成長企業を長期視点で支えるグロース投資という仕事

ゆうちょアセットマネジメント
郭 夏(ごう しゃあ) グロース投資部 ディレクター
PROFILE

大学卒業後、メガバンクに入行して法人融資関連業務を経験。その後、BIG4のFAS部門で企業価値評価とビジネスモデリングなどに従事。フランスのHEC ParisでMBAを取得した後、2020年9月にJPインベストメント株式会社(現ゆうちょアセットマネジメント株式会社)へ入社。現在はグロース投資部で、レイターステージのスタートアップへの投資業務を担当。

目次
  1. -専門性を求めたキャリアが、グロース投資につながるまで
  2. -成長企業を見極め、長期の視点でExitまで伴走する
  3. -多様な視点を力に変える、フラットなチーム構成
成長企業を見極め、長期の視点でExitまで伴走する
グロース投資部がどのような業務を行うチームなのか教えてください。
主にレイターステージ以降のスタートアップへ投資しています。ソーシングとしてはアーリーステージに投資する他VCや、すでに接点のあるスタートアップ、私たち自身のネットワークなどから案件をご紹介いただくことが多く、そこから初期的なスクリーニングを行います。その後、本格的に検討する案件を選び、デューデリジェンス(DD)、社内の投資判断プロセスへ進めます。投資が決まった後も、担当者がポートフォリオ管理を行い、必要に応じて取締役会にオブザーバーとして参加するなどしながら、Exitまで一貫して伴走していきます。
案件はどのくらいの規模で検討しているのですか。
チーム全体で年間200~250件ほどを見ており、実際に投資へ至るのはそのうち約3%です。起業以降のフェーズや当社の投資方針との適合性を確認したうえで、チームで議論し、より詳しく見る案件を決めていきます。投資委員も参加する初期的なレビューへ進むのは、年間20~25件ほどです。そこで重要な論点を確認し、さらに検討できると判断した案件を投資委員会に諮ります。
案件を担当する体制には、どのような特徴がありますか。
ひとつの案件に主担当と副担当を置きますが、その役割は役職だけで決まるわけではありません。若手が主担当となり、より経験のあるディレクタークラスのメンバーが副担当に入ることもあります。一定の経験を積めば、比較的早い段階から主担当として投資候補先と対話し、社内説明資料の構成を考えるところまで担います。前に出る機会が多い分、成長も早いチームだと思います。
投資実行後は、投資先とどのように関わるのでしょうか。
私が主担当を務める投資先の多くでは、毎月の取締役会にオブザーバーとして参加していて、その他に日々の連絡や個別ミーティングもあります。私たちはレイターステージの投資家ですから、事業の成長性だけでなく、上場を見据えて会社として適切に運営できているか、内部統制や意思決定の仕組みが整っているかも重要になってきます。同じ業界の他社事例を共有したり、資本政策や上場時期について相談を受けたりすることもあります。
上場を急がせず、長期的に成長を支える姿勢も特徴でしょうか。
そうですね。私たちは、急いで上場するより、しっかり成長してから上場する方がよいのではないか、という話を投資先とします。レイターステージで投資するからこそ、短期間での上場だけを目指すのではなく、企業価値をさらに高める時間を持つことが重要です。投資時点でも、会社が目指す成長規模と上場時期が、私たちの投資方針と合っているかを慎重に見ています。ExitはIPOを想定するケースが多いものの、M&Aも有力な選択肢です。
銀行とFASでの経験は、現在の仕事にどう生きていますか。
ハードスキルの面では、FASで学んだモデリングやコーポレートファイナンスの基礎がそのまま生きています。レイターステージ企業はシード/アーリーとは違ってすでに事業実績があり、検証できる数字もあることが多いです。それらを使って事業計画を分析し、重要なKPIを特定して、自分たちなりの成長シナリオとリターンを組み立てる力が欠かせません。一方、銀行で培った対人スキルも役に立っています。投資候補先や他の投資家など、多くの関係者と対話を重ねる点は、銀行の営業活動に近いと感じます。
投資先の業界や事業を理解するために、どのように学んでいますか。
私自身に事業会社での経験があるわけではないので、まず本や資料で業界を調べます。ただ、公開情報だけでは分からないことも多く、最後は投資候補先の方々から教えていただくことがたくさんあります。DDの過程で、業界の構造や技術、サービスを深く理解していく。その学びのプロセスは私のキャリアでは新しいもので、今の仕事でもっとも楽しい部分のひとつです。
どんな時にやりがいを感じますか。
投資候補先と議論するなかで、相手の見方や説明がより明確になっていく瞬間です。例えば「ここは重要ですが、今の説明では投資家に良さが伝わりにくい」と率直にお伝えし、一緒に考え直した内容が、その会社自身の説明資料に反映されるようなことがあります。投資判断のための対話が、結果としてその会社を少し良くすることにつながったと感じられる時は、特別なやりがいがあります。また、自分が本当に良いと思った会社について、社内のさまざまな意見に向き合い、説明を尽くして納得を得られた時にも達成感があります。ただし、投資は実行して終わりではなく、そこからがスタートだという認識は忘れないようにしています。

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企業プロフィール

ゆうちょアセットマネジメント

株式会社ゆうちょ銀行と日本郵便株式会社を主要株主とする、日本郵政グループの資産運用会社。2026年4月、JP投信株式会社とJPインベストメント株式会社の統合により発足し、投資運用業、投資助言・代理業などを展開。柔軟な発想と専門家集団の知見を生かし、クライアント目線の質の高い投資機会とサービスの提供を通じて、豊かな未来と新たな価値の創造を目指している。

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