野村総合研究所　インタビュー特集第1回：新たな“仕組み”で世の中を変えていく

野村総合研究所

グループマネージャー　若友千穂

PROFILE

新卒で通信社国際金融情報本部に所属。その後、英国留学を経て野村総合研究所に入社。経営コンサルタントとして、民間企業のコンサルティング、官公庁の政策立案支援などに従事。企業風土改革、リスク管理の領域を専門とし、コンフリクトマネジメント、実行支援型のプロジェクトマネジメントを数多く担当。現在は事業企画室GHRグループマネージャーとしてコンサルティング事業本部の事業計画策定や人材戦略、ナレッジマネジメントを統括している。

-過去ではなく未来を志向するNRIに魅力を感じて転職
-本棚にしまわれるだけの報告書を作るな
-求められるのは総合性、創造性、実益性

本棚にしまわれるだけの報告書を作るな

そういった大型のプロジェクトというのは結構頻繁にあるものなのですか？

若友

企業の経営課題が複雑になり、業際の領域の課題に接するようになると、特定領域の専門性だけでは不十分で、他業界での知見やノウハウを組み合わせて価値を出していく必要性がより強くなっていきます。その結果として、特定の領域に特化したプロジェクトから、ステークホルダーの多い大きなプロジェクトにシフトしています。日本企業が抱える悩みに対して、常に一緒に解決を目指そうとしているＮＲＩの姿勢の表れでもありますし、日本経済の縮図をそのまま体現しているとも言えるかもしれません。

他のコンサルティングファームと比べて、ＮＲＩがクライアントから評価されているのはどういうところだとお考えですか。

若友

よく「宮大工的」という言われ方をするのですが、ＮＲＩはフレームワークありきで、型にはめるようなやり方ではなくて、その個社の目指すものを叶えるという点にとてもこだわっています。海外でのベストプラクティスの横展開というアプローチではなくて、その個社のビジョンやキャパシティをきちんと把握したうえで方針を打ち出し、それが本当に実現可能かということまで見ていくというのが特長的だと思います。

スタンスとしては解を与えるというのではなく、一緒に解いていくという感じでしょうか。

若友

そうですね。プロジェクト終了後の実際の業務まで視野に入れた際には、結果的には「急がば回れ」なのかなと思います。入社当時に私がよく言われたのは「本棚にしまわれるだけの報告書を作るな」ということです。報告書を提出しても実行に結びつかず、きれいに並べられて終わり、それではその仕事は失敗だということは若手の頃から厳しく言われてきました。本当にその提案でお客様が動くのか、それを視野に入れてプロジェクトを推進することを非常に重視している会社です。

ありがとうございます。では視点を変えて若友さんご自身のキャリアについてお伺いします。過去の業務経験に近い金融領域ではない部署に配属されたと伺いましたが、これは若友さんのご希望でもあったのでしょうか。

若友

そうですね。その頃私自身、ちょうど自分のキャリアの幅を広げるステージの時期がきているのかなと思っていたんですね。もちろん金融領域であれば土地勘も少しはあるし、立ち上がりも早いし会社にも貢献しやすいだろうとは思っていましたが、もう少し視野を広げて経済全般や日本の社会というところでの課題に対してアプローチするには、過去の蓄積にとらわれない方がいいのではないかと思いました。

特定のインダストリーにとらわれず、コンサルティングビジネスを通して日本の社会や経済をマクロ的に見る、と。

若友

ＮＲＩにはそういった視座の高い人間が多いような気がしますね。ただし、日本の経済や社会についての課題を解くためには、結局ひとつの企業、ひとつの組織、それは官公庁かもしれないですけれど、それぞれが個々に強くなっていかなければいけないと思っています。社会を変えるために経済を変える、経済を変えるために企業を変える、すべては有機的につながっているなぁと。仕事を通じてそれを感じる機会はとても多いです。自分が取り組んだプロジェクトが新聞に載ったり、世の中の動きが変わっていくのが分かったり。私が転職前に考えていた「仕組みを作って世の中を変えていく」ということをとても自然に体現できているのは、今のこの仕事ならではの面白みだと思います。

求められるのは総合性、創造性、実益性